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2008年11月06日(木) 19時15分

トヨタが大幅下方修正、欧州市場で株価急落ロイター

 [東京 6日 ロイター] トヨタ自動車<7203.T>は6日、2009年3月期の業績予想(米国会計基準)を下方修正し、連結営業利益を1兆6000億円から6000億円に引き下げた。過去最高だった前年から73.6%の減益となる。
 98年3月期に米国会計基準を採用して以来、最低の数値で、決算期が6月だった91年の水準まで落ち込む見通し。ロイターエスティメーツによる主要アナリスト17人の予測平均値1兆2993億円を53.8%下回った。 
 これを受け、6日の欧州株式市場ではトヨタ自動車の株価が急落。日本時間午後6時27分時点では27.6ユーロ(約3490円)付近で推移。東京株式市場の終値は10.35%安の3810円だった。
 すべての通貨に対して円高が進行した上、北米市場などで自動車販売が低迷。売れ筋車種が利益率の高い大型車から小型車へ移行したことも利益を圧迫する。 
 会見した木下光男副社長は「先進国を中心に自動車市場が縮小しており、いまだかつて経験したことがないほどの厳しい状況に直面している。正直、どこで安定するのか見極めるのが難しい。為替の前提と販売台数はかなりシビアに見ている」と述べた。 
 通期の為替前提は、ドル/円を105円から103円に、ユーロ/円を161円から146円に修正した。トヨタは1円の変動で営業損益にドルで年間400億円、ユーロで60億円の影響を受ける。下半期はドル/円を100円、ユーロ/円を130円とした。為替だけで前年から営業利益を6900億円押し下げる。 
 日野自動車<7205.T>とダイハツ工業<7262.T>を含めた通期の販売計画は、874万台から824万台に下方修正した。前年実績からは67万台の減少で、営業利益を6100億円圧迫する。北米は263万台から242万台に、欧州は129万台から121万台に、日本国内は217万台から208万台に、日本を除くアジアは106万台から99万台に見直した。中近東は65万台のまま変更しなかった。 
 原材料価格の上昇も、「3000億円以上の実力がある」(木下副社長)原価改善で補いきれず、営業利益に600億円のマイナス要因となる見込み。 
 木下副社長は、急激な業績落ち込みへの対応策として「緊急収益改善委員会」を設置したことを明らかにした。一般管理費や販売管理費、製造現場での費用など、あらゆるコストを対象に「徹底した削減に取り組む」(木下副社長)という。その上で、来年度の見通しについて「業績は今年度を底にできるようがんばりたい。(主力の)米市場は来年の終わりくらいからベクトルが上向くことを期待したい」と語った。970万台を目標としていた09暦年の販売計画については「現在策定しており、年末には発表する。たいへん厳しいことになることは間違いない」と述べた。 
 通期の設備投資額は1兆4000億円、研究開発費は9200億円でそれぞれ据え置いたが、好調時に計画した投資を見直すなど、今後は必要なものを精査していくという。また、国内工場で働く約6000人の期間従業員は、来年3月末までに3000人に減らす。 
 併せて発表した08年4—9月の営業利益は、前年同期比54.2%減の5820億円だった。日米欧の主力市場で販売が減少したほか、円高も前年同期に比べて3000億円利益を押し下げた。とりわけ大型車が売れない北米市場の不振は深刻で、同地域の営業損益は346億円の赤字(前年同期は2630億円の黒字)に転落した。 
 通期予想に対する4─9月期営業利益の進ちょく率は97%。下半期はほぼ損益トントンで見通していることになる。ロイターエスティメーツによる主要アナリスト4人の予測平均値7167億円を18.7%下回った。
(ロイターニュース 久保 信博記者)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081106-00000727-reu-bus_all