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2008年11月06日(木) 09時12分

二重譲渡「何かの間違い」 小室容疑者、文化庁登録制度悪用か中国新聞

 五億円の詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された音楽プロデューサー小室哲哉こむろ・てつや容疑者(49)らが、音楽出版社に譲渡済みの三十四曲の著作権を、自らが役員を務める二社名義で文化庁に登録し、出版社から二重譲渡を指摘されると「何かの間違いだと思う」と答えていたことが五日、分かった。

 三十四曲の大半は一九九〇年代にヒットした代表曲で、小室容疑者は登録抹消を約束したというが、実行されていない。特捜部は、小室容疑者らが所有権の優先順位が高い文化庁の登録制度を悪用し、著作権を支配しているように装い、兵庫県の投資家らに譲渡話を持ち掛けた疑いがあるとみて調べる。

 関係者や文化庁の著作権登録原簿によると、小室容疑者は八百六曲の著作権を音楽出版社に譲渡していたのに、うち約三百曲をプロダクション「トライバルキックス」、音楽関連「ティーケートラックス」(いずれも東京)に譲渡。

 「CAN YOU CELEBRATE?」など三十四曲の著作権は、二〇〇四年十月と〇五年七月に二社に譲渡したとする登録が、文化庁に申請された。

 文化庁の原簿には〇五年十月から今年五月にかけて登録されたが、小室容疑者が兵庫県の投資家男性と八百六曲の著作権を譲渡する仮契約を結んだ〇六年八月時点では、二十六曲が登録されていた。投資家に譲渡話を持ち掛けるに当たり、文化庁に登録していることを挙げ、安心させた疑いもあるという。

 音楽出版社のうち一社が〇七年末、日本音楽著作権協会(JASRAC)から連絡を受け、二重譲渡を把握。ことし七月、小室容疑者に面会して問い詰めると、「何かの間違いだと思う」と回答、抹消を約束したという。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811060127.html