農林中央金庫は六日、二〇〇九年三月期決算（単体）の経常利益予想を従来の三千五百億円から下方修正し、前期比71％減の一千億円にとどまる、と発表した。金融市場の混乱で保有有価証券の下落が見込まれるためで、農林中金は財務の健全性を維持するため年内にも三千億円規模の増資を行う計画だ。
〇八年九月中間（単体）段階では、保有有価証券に千十三億円の損失が発生し、経常利益は前年同期比87％減の二百億円程度にとどまる見通し。
九月末時点の証券化商品の投資残高は六兆八千二百三十億円で、うち二千四百十五億円が米サブプライム住宅ローン関連商品。米政府系住宅金融公社関連債券は、三月末に比べ二兆千七百五十八億円減の三兆四千五百六十八億円という。
増資は、グループである全国の信用農業協同組合連合会などに永久劣後ローンを引き受けてもらう予定で、自己資本比率を１％程度上昇させる効果を見込んでいる。
六日に衆院を通過した金融機能強化法改正案は、農林中金も資本注入の対象にしているが、農林中金は現状では必要ないとの考えを示している。