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2008年11月06日(木) 21時32分

国宝にアライグマのつめ跡 京都の浄瑠璃寺、文化庁調査中国新聞

 京都府木津川市の浄瑠璃寺で、国宝の三重塔や重要文化財の仏像が、野生化して寺に侵入したアライグマに傷つけられていることが分かった。京都や奈良の寺社でも同様の被害が相次いでおり、文化庁は六日、浄瑠璃寺で現地調査した。

 関西野生生物研究所(京都市)によると、先月、三重塔内の壁画や木造薬師如来像にアライグマのつめ跡が多数残っていることが判明。奈良の東大寺や室生寺でも、柱などがアライグマのつめで傷つけられているという。浄瑠璃寺の佐伯功勝さえき・こうしょう副住職(47)は「もとはと言えば、ペットを自然界に放した人間の無責任さが原因。やるせない思いだ」と話している。

 アライグマは北米原産でペットとして輸入されたが、捨てられるなどして農作物などへの被害が全国的に問題になっている。同研究所の川道美枝子かわみち・みえこ代表は「行政が本格的に駆除に取り組まなければ、被害拡大は防げないだろう」と話している。

 浄瑠璃寺の被害を調査した文化庁文化財美術学芸課の奥健夫おく・たけお調査官は「三重塔が自然の中にあるので(アライグマの侵入を)全く遮断するのは難しい。被害を防ぐ方法としては小まめな管理で侵入路をふさぐしかないだろう」と話している。

【写真説明】アライグマのつめ跡が多数残る浄瑠璃寺三重塔の内部の柱=6日午後、京都府木津川市

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811060280.html