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2008年11月06日(木) 21時55分

<麻生首相>農政、整備局原則廃止方針…地方分権へ現状打開毎日新聞

 麻生太郎首相が6日、国の出先機関である農林水産省の地方農政局と国土交通省の地方整備局の原則廃止を指示したのは、政府の地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)が年末にまとめる第2次勧告に向け、各省庁の抵抗で議論が停滞している現状を打開する狙いがある。しかし両省の抵抗は強く、どこまで統廃合を進められるかは定かでない。

 「地方分権改革は重要課題の一つ。消費税(引き上げ)の前に行政改革が大事だ」。首相は6日、首相官邸で記者団に強調した。

 年内の衆院選を見送った首相にとって、政権の実績積み上げは大きな課題だ。総務相時代に国と地方の税財源を見直す「三位一体の改革」を推進。今年2月には月刊誌への寄稿で、都道府県を再編して新たに設置する「州」に地方整備局や経済産業局を移すことを提案した。得意分野で得点を稼ぎ、政権浮揚につなげたい考えだ。

 また、3年後を想定する消費税率引き上げに国民の理解を得るためにも、地方分権による行革が不可欠だと首相は判断している。

 しかし農水、国交両省の抵抗感は強い。農水省の井出道雄事務次官は6日の会見で「農水省改革の議論を進めている最中。一刀両断に『これはあっち』ということにはならない」と述べた。

 汚染米の不正転売問題の一因が、農政事務所のずさんなチェックにあっただけに、廃止論に強く抵抗することが難しい雰囲気もある農水省。しかし、農水省職員約2万7000人のうち、七つの農政局や39カ所の農政事務所に計約1万6000人が所属しており、都道府県などに移すとなれば多額の人件費や事務事業費の財源移譲が伴う。複数の都道府県にまたがって流通する食品の表示・安全行政など、地方移管に課題が多いことも事実だ。

 国交省も現在、道路と河川の権限移譲について都道府県と個別協議をしているところ。「地方に移管すべきものもあるだろうが、国が統一的にやった方が効率がいいものもある」(国交省幹部)と反発の声も少なくない。

 国交省の春田謙事務次官は6日の会見で「地方整備局がどうなるか申し上げられる段階ではない。(都道府県との)協議をしっかりやっていく」と述べるにとどめた。【行友弥、位川一郎、西田進一郎】

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