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2008年11月06日(木) 21時21分

<定額給付金>所得制限の線引き、虚偽申請排除など難題山積毎日新聞

 政府・与党は追加経済対策の柱の総額2兆円の「定額給付金」について、「バラマキ」批判を避けるため、支給に所得制限を設ける方針だ。しかし、どの時点の所得を基準にするかや、虚偽申請をどう排除するかなど難題が山積。しかも与党は事実上、「年度内実施」の条件を課しており、給付の実務を担う総務省や市町村は「どう準備すればいいのか」と頭を悩ませている。

 政府・与党は当初、所得制限を設けず全世帯に給付する考えだった。しかし、高額所得者も対象になることへの批判に配慮し、所得制限を導入。年収1500万円未満の世帯に限り、自己申告方式で市町村の窓口で給付金を支給する方向で調整しており、所得制限該当世帯は全体の3%程度の見通しだ。

 ただ、実施には難題が多い。まず、どの時点の所得を基準とするか。市町村は07年の各世帯の所得情報しか把握していないため、07年は所得が1500万円以上でも、景気悪化で今年リストラされ、所得が激減した人は支給対象から漏れてしまう。一方、今年の所得を基準にしようとすれば、所得データが出そろう来年6月まで対象を決められず、年度内給付は難しくなる。

 給付作業もスムーズにいきそうにない。総務省は15歳以下の子供を持つ世帯など3500万人を対象に商品券を配った99年の「地域振興券」をモデルに検討を重ねている。この時は、市町村が住民基本台帳から対象者を特定し、自宅に引換券を郵送した。しかし、今回は基準が「所得」。通知のために所得情報を利用し対象リストを作る場合、個人情報の目的外使用に当たる可能性がある。

 さらに、市町村の所得情報だけでは、株の配当などの収入は把握できず、虚偽申請を排除しきれない。鳩山邦夫総務相と地方6団体の6日の会合では全国市長会から「制度の仕組みを簡素にしてほしい。混乱すると、市町村がたたかれる」との悲鳴も上がった。【赤間清広、石川貴教】

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