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2008年11月05日(水) 02時31分

<ケニア人ランナー>「資格外活動」と認定 入管最終審理毎日新聞

 アマチュアスポーツ選手としての在留資格を満たさなくなったとして、名古屋入国管理局に入管難民法違反容疑で収容されたケニア出身のマラソンランナー、サイモン・マイナ・ムニさん(30)の最終審理(口頭審理)が4日開かれ、同管理局は「資格外活動」と認定した。サイモンさんは即日、法務大臣に異議申し出をした。

 入管難民法の規定では、異議申し出を法務大臣が退ければ、退去命令が出される。

 関係者によると、サイモンさんは97年、アマスポーツ選手の資格で来日。昨年けがをして愛知県の会社を解雇され、別の会社に再就職。その後は大会には出場していない。

 入管は、サイモンさんは同法で規定する「雇用された団体のために競技を行う」という条件を満たしておらず、所属会社に成果(利益)をもたらしていないと判断。また、在留資格では報酬について、月額25万円以上を受けていることを条件にしているが、サイモンさんは時給制だった。アマ選手でなく単純労働者と認定したとみられる。

 サイモンさん側は「社名の入ったユニホームを作り、大会の出場エントリーをしていた。結果を出すため練習していた」と主張したが退けられた。

 法務大臣の退去命令が出された場合、訴訟を起こすことができる。しかし、支援している尾張旭ランニングクラブ会長の渡辺隆秀さん(50)は「裁判するにしても、時間がかかり選手生命が絶たれてしまう。経済的にも苦しい」と話した。

 サイモンさんのほかもう一人、ケニア人ランナー、ジョセフ・モワウラ・カマウが収容されており、審理は5日開かれる。【岡崎大輔】

 入管難民法違反事件を多く手掛ける名嶋聡郎(あきお)弁護士(愛知県弁護士会)の話 スポーツを隠れみのにした出稼ぎなのか否かを審査すべき。現状は、けがという事情で活動ができないが、練習計画や取り組み姿勢を見れば今回のような結論にならない可能性はあると思う。状況を形式的に判断するのではなく、事案の性質で冷静に見極めるべきだ。

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