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2008年11月05日(水) 02時31分

<札幌女性監禁>父親が深刻さ伝えるも北区、緊急性感じず毎日新聞

 札幌市北区の自宅アパートで女性(21)が母親に約8年間監禁状態にされた問題で、父親が05年1月に区役所に相談した際、「娘が座ったまま動かない」「妻がタンスを壊している」などと深刻な事態を具体的に訴えていたことが4日、分かった。04年に改正された児童虐待防止法では、「虐待が疑われる場合」も児童相談所(児相)への通告が義務づけられており、05年1月当時、女性は17歳で児相の対象(18歳未満)だったにもかかわらず、区では連絡していなかった。【木村光則、和田浩幸】

 同市保健福祉部などによると、母親は04年ごろから父親が女性に近づくことも嫌がり始め、父親と別居。心配になった父親は05年1月、北区の精神保健福祉相談員に電話で相談した。相談員は父親の話し方に切迫感がなく緊急性を感じなかったことで、「(母親に)病院を受診させたほうがいい」と助言しただけで終わったが、その際に父親は「妻が娘を家に閉じ込めている」と話し、「娘は部屋に座ったまま動かない」「家を訪ねる度に妻がタンスを壊し、一つずつ無くなっている」など、虐待も疑われる具体的な状況を話していたという。

 相談員は助言後に父親に電話したものの、つながらなかったため放置。関係機関への連絡措置も取らなかった。女性は約1年半後の06年8月、近隣住民から児相への通告をきっかけに保護されており、発見当時は女性は部屋の壁にもたれかかった状態で、1カ所からほとんど動かなかったという。

 北区保健福祉課は「相談員も早期に病院に連れていくよう助言しており通常の対応をしたと思う。しかし、もう一歩踏み込むことはできなかったかとの反省はある。強い危機感を持てば児相に連絡することもできた。二度と同じことを起こさないような対策が必要だ」としている。

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