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2008年11月05日(水) 02時30分

<子ども「無保険」>子供世帯への対応 都道府県で”格差”毎日新聞

 国民健康保険(国保)の子どもの「無保険」問題で、厚生労働省が先月30日に公表した全国調査。その結果からは、都道府県レベルでの“地域格差”も浮き彫りになった。

 国保料を滞納した世帯数と、保険給付差し止めで発行される「資格証明書」を受け医療費の10割自己負担が必要な子どものいる世帯数を比較すると、「発行率」が最も高いのは栃木県だった。

 同県国保医療課は「県として統一的な政策を打ち出しているわけではなく、各市町村の判断の結果。滞納率が高いことも背景にあると思うが、なぜ高いかは不明」といぶかる。県内では、宇都宮、足利、鹿沼、大田原の4市が各200世帯以上に発行し、全体の数字を押し上げている。

 一方、埼玉県は滞納率が栃木県と同水準ながら、「発行率」は0.06%で限りなくゼロに近い。県国保医療課によると、滞納者への資格証明書発行が義務化(00年)される前から、発行数が少ないという。

 「発行率」下位の3県は、いずれも県庁所在地が子どもに資格証をほとんど発行していないのが特徴だ。さいたま市は「資格証を発行しなくても、滞納者と納付相談ができている」と、大人も含めて発行をゼロに抑えている。また沖縄県医務・国保課は「県内の収納対策では、資格証ではなく短期証が活用されている」と話す。

 調査結果について、芝田英昭・立命館大教授(社会保障論)は「各自治体の裁量で子どもに格差が出ている。発行割合が高い自治体は、個別の事情をあまり考慮せずに機械的に発行している可能性が高い」と指摘。さらに国の姿勢を批判し、「責任を自治体に押し付けるだけで、根本的な解決を図っていない」と述べた。【平野光芳】

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