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2008年11月05日(水) 02時00分

9月下旬にも脳出血の妊婦受け入れ拒否…都内の複数の病院スポーツ報知

 今年9月下旬、東京都調布市のかかりつけ病院で嘔吐(おうと)などの症状を訴えた30代の妊婦が、「総合周産期母子医療センター」に指定されている杏林大病院(三鷹市)など複数の病院から受け入れを断られた後、20キロ以上離れた都立墨東病院(墨田区)に運ばれて出産し、脳内出血の処置を受けていたことが4日、分かった。収容先が決まるまでに3時間以上かかった。

 搬送を依頼したかかりつけ病院側は「赤ちゃんは無事だが、母親の現在の容体は把握していない」としているが、厚生労働省は「母親は重篤な状態と報告を受けている」としている。

 同じ総合周産期母子医療センターの墨東病院など8病院による妊婦受け入れ拒否よりわずか11日前の出来事。事態を重視した厚労省は事実関係の確認に乗り出した。

 かかりつけの病院によると、妊婦は妊娠41週目で、お産のため入院中の9月23日午前零時ごろから、嘔吐や右半身が動かないなどの症状が出始めた。

 午前3時ごろ、当直医から呼び出しを受けた院長が診察し「脳の疾患の可能性が高い」と判断。杏林大病院に連絡したが、同病院は「産科医が手術中」などの理由で受け入れを断ったという。

 かかりつけの病院は「その後、都内の3病院に要請したが断られた。午前5時半ごろ、墨東病院に連絡して受け入れてもらえることになった」としている。

 妊婦を乗せた車両が墨東病院を目指し、かかりつけ病院を出発したのは午前6時20分ごろだった。

 杏林大病院は「かかりつけの病院が『受け入れ可能になるまで待ちたい』と言ったので、緊急性はないと判断した。当初は脳の疾患の疑いまでは伝えられず、分かっていればすぐに引き受けた」としているが、かかりつけの病院は「脳の手術の必要を感じなければ、そもそも脳外科医のいる大病院を探していない。当然、症状については杏林大病院側に伝えた」としており、言い分が食い違っている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081104-OHT1T00283.htm