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2008年11月05日(水) 01時12分

自社株買い過去最高 株安と規制緩和で10月241件産経新聞

 10月の企業の自社株買いの設定件数と設定額が、定款への記載で自社株買いの時期や額を取締役会決議で決定できるようになった平成15年以降、10月単月としては過去最高だったことが4日、分かった。中間決算を控えた10月は例年自社株買いが少ない。株安と、金融危機を受けて金融庁が10月に実施した規制緩和が背景にあるとみられ、規制緩和が続く年末まで自社株買いをする企業が増えそうだ。

 野村証券金融経済研究所投資調査部によると、10月の自社株買い(普通株ベース、子会社からのものを除く)の設定件数は、253件(設定額は5514億円)だった。自社株買いの規制緩和が実施された14日以降では、206件(同5184億円)と急増している。

 10月は、多くの企業が中間決算の発表を控えているため、例年、自社株買いの設定件数は少ない。

 ところが、今年は18年の63件(同4675億円)、昨年の97件(同5026億円)を大きく上回り、件数で2・6〜4倍、設定額ベースでも10〜18%増となった。同研究所の西山賢吾ストラテジストは「急速に進んだ株安のほか、規制緩和で、自己株式の取得を検討する企業が増えた」と指摘する。自社株買いの実施件数は、10月に241件(実施額2307億円)となり、現在の自社株買いの制度が始まった15年9月以降では過去最高となった。

 自社株買いは、買い付けた株を消却して発行済み株式数を減らすことで、1株当たりの株式価値を大きくする。株主還元策の一環とされ、特に株安の局面で用いられる。

 今回の規制緩和では、直近4週間の1日平均の売買単位の25%までという取得株数の制限を100%まで可能とし、取引終了30分前までの時間帯制限も、取引終了時刻までと変更した。

 とはいえ、今年は景気悪化の影響を受け内部留保に走る企業が多く年間を通せば、自社株買いの個々の設定・実施額は減少基調にあり、市場には、一層の規制緩和を求める声もある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000511-san-bus_all