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2008年11月05日(水) 01時11分

首相「1月解散」やる気? 金融法案採決強行へ大幅延長も  産経新聞

 政府・与党は4日、金融機関に予備的な公的資金注入を可能にする金融機能強化法改正案を5日の衆院財務金融委員会で採決を強行し、6日に衆院通過させる方針を固めた。麻生太郎首相が15日にワシントンで開かれる金融危機首脳会議に出席するまでに政府・与党の姿勢を明確に示す必要があると判断した。野党が今後態度を硬化させれば、与党は今国会を「60日みなし否決」規定(憲法59条)による衆院再議決を視野に来年1月上旬までの大幅延長に迫られ、「1月解散」が現実味を帯びることになる。(水内茂幸)

 大島理森自民党国対委員長「民主党の意向を踏まえられる部分はすべて修正した。金融法案は明日粛々と採決したい」

 山岡賢次民主党国対委員長「審議が尽くされていないのに勝手にやるんですか。仕方ありませんね」

 4日午後、国会内で開かれた大島、山岡両氏の会談は15分ほどであっけなく終わった。大島氏は「仕方がない」という言葉で承諾を得たと判断したが、山岡氏は国会内でばったり出くわした公明党の西博義国対委員長代理に「決裂だ! 明日は公明党さんが大好きな強行採決だ! これからは3分の2(衆院再議決)の連発ですね」と言い放った。

 与党は野党3党との修正協議を打ち切り、5日の衆院財務金融委員会で締めくくり総括質疑を行った上、委員会採決を行い、6日午後の衆院本会議で採決する方針。委員会採決では、政府原案と、民主党の主張を一部盛り込んだ修正案の2つを採決に諮り、野党側に踏み絵させる案も浮上している。

 与党側が強攻策に転じたのは、15日の金融危機首脳会議までに政府・与党の姿勢を示す必要に迫られたことに加え、新銀行東京を資本注入の対象から除外▽農林中央金庫への資本注入は国会の議決が条件−という民主党の修正要求は応じられないと判断したためだ。金融対策を迅速に打てないことへの国際的な批判をテコに野党側に早期成立を促したいとの思惑もある。

 しかし、野党が主導権を握る参院で審議が滞った場合、11月30日に会期末を迎える今国会の大幅延長を迫られる。金融機能強化法改正案を60日みなし否決規定で衆院再議決が可能となるのは1月5日。参院で審議中の海上自衛隊のインド洋での活動を継続する新テロ対策特措法改正案の参院採決が行われない場合、同法案も合わせて衆院再議決される可能性もある。

 そうなれば野党側が参院で首相の問責決議案を提出する公算が大きい。首相がこの動きを逆手にとって追加経済対策を含む2次補正予算案と来年度予算案を国民に提示し、「速やかな経済対策を行うために国民の信を問いたい」として、再議決直後に衆院を解散する可能性も出てくる。

 一方、民主党は新銀行東京の融資に関する与党議員の口利き疑惑や、農林中金理事長への農水省OBの天下り問題を厳しく追及し、金融機能強化法案の修正を求めていく構え。解散ムードが高まることは確実といえ、今後は与野党ともに内閣支持率や経済情勢をにらみながら神経戦を続けていくことになりそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000510-san-pol