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2008年11月05日(水) 01時06分

どうなるエキスポランド 「スリルと興奮」より「万博の理念」産経新聞

 昨年5月に1人が死亡、19人が負傷したジェットコースター脱線事故を起こしたエキスポランド(大阪府吹田市)の民事再生法適用申請が明らかになって1週間。エキスポ社は16億円に上る債務の圧縮を金融機関と交渉するとともに、営業再開の道を模索している。地に落ちたイメージを転換するために、「エキスポ」の看板を降ろすことも視野に脱皮を図ろうとしているが、会社清算という最悪のシナリオを回避できるかどうか予断を許さない状況だ。

 ■スポンサー探しに壁

 万博記念公園の南東部に位置する遊園地が門を閉ざしてから、来月で1年。

 売り物だった絶叫マシンのうち、事故機の「風神雷神II」と、大阪万博で人気を呼んだ「ダイダラザウルス」はすでに撤去された。平成8年導入のぶら下がりコースター「オロチ」も売却の方針で、エキスポ社は「仮に再開が実現しても“スリルと興奮の園”が復活することはない」という。

 ただ、遊園地の敷地は独立行政法人日本万国博覧会記念機構が所有し、エキスポ社は遊園地運営の受託契約を結んでいる。そのため提携できる企業には制約があり、スポンサー探しは難航が予想される。

 ■スタジアム建設案

 こうした中、今年6月にJリーグ「ガンバ大阪」の金森喜久男社長が国際基準のサッカースタジアムの建設を提案した。

 ガンバの本拠地の万博記念競技場は構造上改装が難しいことなどからエキスポランドに着目したのだ。建設費は在阪企業や市民の寄付でまかなう考えで「府が用地、市が施設を所有し、ガンバが維持管理する」との青写真を描く。

 エキスポ社はこの構想に関心を示し、地元の阪口善雄吹田市長も前向きな姿勢だが、府は乗り気をみせておらず具体的に進展していない。

 金森社長は「そろそろ正式に寄付を募りたいが、現状では動けない」と焦りをみせている。

 ■原点に戻る

 「“絶叫型”に傾く一方のエキスポランドに違和感を抱いていた」。万博機構の増木茂事業部長は、こう打ち明けた。

 「人類の進歩と調和」を掲げた大阪万博の理念を継承する広大な緑地には、エキスポ社が民事再生法申請の記者会見で明らかにしたような、「動物と触れ合えるテーマパークの方がふさわしい」との考えだ。

 仮にエキスポ社が再建を断念した場合、約20ヘクタールの敷地は万博機構が自主運営することになるが、増木部長は「原点に戻り、万博の理念にふさわしい施設を」と話している。

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