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2008年11月05日(水) 00時34分

【小室逮捕】「世界に一つだけの曲」 投資家にオリジナルCD贈る産経新聞

 音楽著作権の譲渡をめぐる5億円の詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された音楽プロデューサー、小室哲哉容疑者(49)が、兵庫県内に住む個人投資家(48)に著作権譲渡を持ちかける前、「金を引き出すため、著作権を所有していない事実は隠しておこう」と、ほかに逮捕された2人に発案していたことが4日、分かった。また、その後の交渉過程で、自ら作った曲を「世界で一つだけの曲」とオリジナルのCDにして投資家に贈っていたことも判明した。

 特捜部は、小室容疑者が一連の計画を主導した上、作詞作曲という得意分野を武器に投資家を信用させ、代金を支払わせたとみて追及する。

 調べや関係者によると、小室容疑者は平成18年7月30日、東京都内のホテルで投資家と著作権譲渡の交渉を行う前に、自身が取締役を務めるイベント企画会社「トライバルキックス」(東京都)社長、平根昭彦容疑者(45)と同監査役、木村隆容疑者(56)=いずれも詐欺容疑で逮捕=と打ち合わせ。「著作権が自由にならないといえば投資家が話に乗ってこない」と持ちかけ、隠蔽(いんぺい)することで合意したという。

 小室容疑者が10億円での売却対象とした806曲の著作権は当時、すべてが音楽出版社「エイベックス・エンタテインメント」などに譲渡されていた。そのうち主な約300曲の著作権をトライバルキックスなど2社に二重譲渡しており、小室容疑者に著作権譲渡の権限はなかった。

 しかし交渉の場で小室容疑者は投資家に対し「僕の過去の曲の著作権については、音楽出版社との間でも、全部僕の手元に残しておくという契約になっている」「806曲がフルセットになっているということに意味があるし、価値が出る」と言葉巧みに話し、自身がすべての著作権を所有し、自由に譲渡できるかのように見せかけたという。

 それでも「芸能界は信用できない」と渋る投資家に対し、小室容疑者は「僕はこれでも名の知れた男だ。逃げも隠れもしない」と豪語。8月上旬ごろ、投資家に「あなたのために特別に製作した。世界に一つだけの曲です」とアピールしてCDをプレゼントした。これで投資家はようやく信用し、仮契約を結んだ。

 さらに、小室容疑者は元妻に差し押さえられていた印税収入について「差し押さえ解除に前払い金が必要」として投資家に5億円を振り込ませたが、すべてを自らの借金返済にあてたという。

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