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2008年11月05日(水) 00時34分

飛ばない座布団“決まり手”は4枚合体 大相撲九州場所で導入産経新聞

 大相撲で番狂わせなどが起きた際に場内を乱れ飛ぶ座布団。危険防止のため観客に自制を求めてきた日本相撲協会だったが、九州場所(9日初日、福岡国際センター)で“飛ばない座布団”の導入に踏み切る。

 昨年までは4人用のマス席に1人用の正方形座布団4枚が配置されていたが、マス席が広くなる今年から、長方形(125センチ×50センチ)の2人用2枚に変更。さらにその2枚をひもで結ぶ。九州場所担当部長の出羽海理事(元関脇鷲羽山)は「1人でも座っていれば投げられない」と話す。

 観客が座布団を投げるのは、ひいき力士に祝儀を渡す目的で羽織などを投げ入れた「投げ纏頭(はな)」という慣習の名残といわれる。江戸時代に始まった投げ纏頭は、明治42年の旧両国国技館開場を機に禁止となり、殊勲をたたえる行為は座布団投げに転じた。昭和14年春場所4日目に横綱双葉山が平幕安芸ノ海に敗れて連勝が69で止まったときや、50年春場所千秋楽の優勝決定戦で大関貴ノ花が横綱北の湖を下したときの座布団の舞いは、歴史的名場面といわれる。

 だが現在では、嫌いな横綱が勝ったり、好きな力士が敗れた際に、腹いせで投げ込まれることがあり、観戦マナーの低下も指摘される。協会はこれまでも場内放送で「危険ですので座布団を投げないでください」と呼び掛け、観客に配る取組表にも「けがを負わせると刑事罰に問われる場合もある」と記して自制を求めてきた。出羽海理事は「事故が起きてからでは遅い」と危機感を抱いていた。

 大相撲は、力士死亡事件や大麻事件など不祥事が相次いでおり、厳しい視線にさらされている。座布団で観客が負傷したという事例はなく、「当たっても痛くないし、怖いと思ったことはない」と話す力士もいるが、事故の可能性を排除するのは当然だろう。出羽海理事は「九州場所だけではなく、国技館や他の地方場所にも広がればいい」としており、座布団の乱舞は消えゆく運命にあるようだ。

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