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2008年11月05日(水) 15時00分

米国−欧州のフライトが1300円:欧州のRyanair社が計画中WIRED VISION

米国の航空会社が運賃を大きく値上げしたため、これまで飛行機を頻繁に利用していたがバスに切り換える、という旅行者も出てきた。そんな中で欧州のある航空会社が、イタリア料理のレストラン『Olive Garden』の前菜より安いロンドン行き航空券を販売しようとしている。

アイルランドの格安航空会社Ryanair社は、エコノミークラスの航空券が10ユーロ(およそ13ドル)からという低価格で、欧州と米国を結ぶ路線を開始する計画だと発表した。

Ryanair社では、乗客が吸う空気を除くとほとんど何でも別料金、という欧州で大成功を収めたビジネス・モデルを踏襲するほか、客室前方には従来のようなビジネスクラスの座席を用意することで、収益を上げることを見込んでいる。

Ryanair社では、ロンドン北東にあるスタンステッド空港をベースに、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、およびフロリダ州各都市とを結ぶフライトを提供する計画だ。スタンステッド空港はロンドン中心部から離れているものの、費用を切り詰めたい旅行者に人気がある。

Ryanair社にはいますぐ就航させられる航空機はないが、景気後退によってボーイング機やエアバスの予約は確実に減少するので確保可能だと、同社の饒舌な最高経営責任者(CEO)Michael O'Leary氏は説明している。

欧州まで15ドルという価格が本当に実現するとは思えない人たちのために、どのような仕組みなのかを説明しよう。

欧州線においてRyanair社は、多くの場合、運賃と税金の分だけの航空券を販売している。どうやって利益を確保するかというと、強制加入の旅行保険[6.25ドル]、クレジットカード処理[12ドル]、係員による電話での応対[1分間2ドル]、発券カウンターでのチェックイン[8ドル]、予約内容の変更[140ドル]など、あらゆる部分で料金を設定し、手数料を徴収するのだ。

同社のビジネス・モデルが功を奏しているもう1つの部分は、テレビ・ショッピング『QVC』の機内版とも言えるサービスで、客室乗務員たちが、サンドイッチや炭酸飲料からジュエリー、香水、くじ、携帯電話の通話分数にいたるまで、あらゆるものを売り込んでいる。

このビジネス・モデルが欧州で大きな成功を収め、勢力を急激に伸ばしたRyanair社は、年間6500万人の乗客を145都市に運び、アイルランドの競合企業Aer Lingus社を引き離している。

しかし、航空業界が直面している経済的圧力を跳ね返してきたとはいえ、Ryanair社の伸びは鈍っており、最近は利益が50%低下したと発表している。

格安料金だけでは成功を保証できないだろう。私も格安航空券を探すが、特に欧州までの9時間のフライトだと、座席の背もたれのポケット、窓の日よけ、リクライニングシートなどがちゃんとしている飛行機のほうがいい[別の英文記事によると、Ryanair社の座席には、座席の背もたれのポケットや窓の日よけがなく、シートもリクライニングしない]。他の旅行者たちも同じ気持ちなら、大西洋を横断する路線でのRyanair社の戦略は成功しないだろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000004-wvn-sci