記事登録
2008年11月05日(水) 22時54分

拉致問題、米経済回復…オバマ氏「チェンジ」へ日本も期待読売新聞

 史上初の黒人大統領で、金融危機への対策を前面に掲げたオバマ次期大統領に対し、日本国内からも期待と不安の声が交錯した。

 北朝鮮による日本人拉致問題には、米国の外交姿勢が大きく影響する。オバマ氏は対北朝鮮政策では「対話派」とされ、拉致被害者家族会の増元照明事務局長(53)は「私たちは北朝鮮に圧力をかけて被害者を救い出すという考え方。マケイン氏の方が感覚が近いと思っていた」と話す。「政府は、大統領が誰であろうと強い姿勢で拉致問題解決に臨んでほしい」と注文を付けた。

 対米輸出の不振で打撃を受けている中小業者は米経済の回復を切望する。

 「チェンジ(変革)というオバマ氏の言葉は米国の消費者心理を刺激してくれるのではないか」。中里スプリング製作所(群馬県高崎市)の中里良一社長(56)はこう語る。同社は住宅設備を輸出する企業に工作機械などを納入しており、サブプライム問題による米国の住宅不況の影響は大きい。「人種の壁を打ち破ったオバマ氏の姿を励みに、我々も苦境を乗り越えたい」とも話す。

 自動車生産用の機械の部品を製造する東京都大田区の零細企業の社員は「日本の町工場は米経済と直結している。何をおいても経済再生を」と期待を込めた。

 オバマ氏の地元は2016年夏季五輪招致で東京のライバルとなっているシカゴ。1次選考を通過した今年6月には「大統領として開会宣言したい」と招致に意欲を示しており、都庁内では「シカゴには強力な援軍」と警戒する声が上がった。

 都の幹部は「オバマ氏はスピーチが巧みで、アフリカ系なので途上国などからも共感を得る可能性もある。今の人気が続くと東京には厳しい」と懸念を隠さなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000056-yom-soci