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2008年11月05日(水) 22時40分

<露大統領>米次期政権に強い姿勢示す ミサイル配備毎日新聞

 【モスクワ大木俊治】ロシアのメドベージェフ大統領が5日の年次教書演説で、米ミサイル防衛(MD)計画への対抗措置を打ち出したのは、4日に当選したばかりのオバマ米次期大統領に、この問題でロシアの強い姿勢を示す狙いがあったとみられる。

 大統領は演説で、8月のグルジア紛争が、「北大西洋条約機構(NATO)の軍艦が黒海に進入し、米MDシステムの欧州への配備を加速させる口実に使われた」と強い口調で米国やNATOを批判し、改めて対決姿勢を鮮明にした。

 ロシアはこれまでも米MDの東欧配備を、「ロシアの安全保障にとっての脅威」だとして強く反発してきた。昨年4月、当時のプーチン大統領(現首相)は年次教書演説で、対抗措置の一つとして欧州通常戦力(CFE)削減条約の義務履行を一時凍結することを提起し、その後、これを実行した。今回の対抗措置はMDの無力化を狙ったより直接的な対抗措置といえる。

 欧州に隣接するカリーニングラード州へのミサイル配備は昨年7月、当時のイワノフ第1副首相(現副首相)が言及。ロシア軍幹部は、同州にミサイルを配備すれば、ポーランドに計画されているMDミサイル施設を標的にできると明言していた。

 メドベージェフ大統領の年次教書演説は当初、10月23日に予定されていたが、5日に延期された。大統領府は延期の理由を説明しておらず、金融危機への対策を優先したためとの見方が強かったが、4日の米大統領選をにらんで日程を決めたとの見方もあった。

 結果的に、米ブッシュ政権が決めたMDへの対抗措置を年次教書演説に盛り込んだことで、米次期政権にロシアの強いメッセージをぶつける形になった。

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