記事登録
2008年11月05日(水) 22時29分

露大統領、米MD計画への対抗措置明言…年次教書演説読売新聞

 【モスクワ=瀬口利一】ロシアのメドベージェフ大統領は5日、クレムリンで就任後初めての年次教書演説を行い、米国の東欧でのミサイル防衛(MD)計画への対抗措置として、欧州に隣接するロシア西端の飛び地カリーニングラード州に対空ミサイルを配備すると表明した。

 また、大統領の任期を現行4年から6年に延長するため、憲法を改正する方針を明らかにした。

 大統領は演説の中で、プーチン首相(前大統領)との「二頭体制」による長期政権への自信を誇示。

 グルジア紛争をめぐっては、「紛争が北大西洋条約機構(NATO)諸国の黒海への艦隊派遣やMD配備を急ぐための口実に利用された」などと述べ、ブッシュ米政権を改めて批判。米国がMD計画を断念しない場合は、対決姿勢を一段と強めるとの考えを強調し、カリーニングラード州に移動式対空ミサイル発射装置「イスカンデル」や妨害電波発信施設を配備するほか、2010年までに解体予定だったモスクワ南西コゼリスクの大陸間弾道弾(ICBM)発射基地を存続させる方針を明言した。

 その一方で、メドベージェフ大統領は来年1月に米大統領に就任するオバマ上院議員に対しては「米露の包括的関係の利益に立った選択を期待する」と呼びかけ、世界金融危機への対処や軍備管理分野で協力する姿勢を表明。オバマ次期大統領との関係改善に意欲を見せた。

 大統領はまた、与党「統一ロシア」が3分の2超の議席を占める下院の議員任期も4年から5年に延長するよう提案した。大統領任期の延長については、憲法の「3選禁止」規定に抵触せずに権力を維持する手段としてプーチン前政権下で活発に議論され、プーチン氏も賛意を示していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000054-yom-int