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2008年11月05日(水) 00時00分

小室容疑者、月5%高利“借金” 返済切迫で譲渡主導か中国新聞

 著作権譲渡をめぐる五億円の詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された音楽プロデューサー小室哲哉こむろ・てつや容疑者(49)が、かつて仕手戦の舞台となった投資・建設事業持ち株会社から“高利融資”を受け、五カ月後に詐欺事件を起こしていたことが四日、分かった。五億円のうち約三億四千万円はこの融資の返済に充てられていた。

 共犯とされる会社役員木村隆きむら・たかし容疑者(56)は共同通信の取材に「月利5%という持ち株会社からの借金を返すために著作権の譲渡先を探していた」と説明。特捜部は単利でも年60%に上る実質的な「借入金」の返済に切迫した小室容疑者が主導したとみて調べる。

 また、被害者の兵庫県の投資家との交渉過程で「これでも名の知れた男。逃げも隠れもしない」と説得し、自ら作った曲を「世界で一つの曲」とCDにしてプレゼントしていたことも判明した。

 関係者によると、小室容疑者が“融資”を受けたのはA・Cホールディングス(東京、旧南野建設)。旧南野建設は、「最後の大物仕手筋」と言われた西田晴夫にしだ・はれお被告(58)=金融商品取引法違反罪で公判中=らが二〇〇七年に逮捕された株価操縦事件の舞台となった。

 小室容疑者は〇六年三月、プロダクション「トライバルキックス」(東京)代表取締役平根昭彦ひらね・あきひこ容疑者(45)を通じ、著作権を担保に三億円を受領。約五カ月後の八月七日、投資家と著作権を十億円で譲渡する仮契約を締結。五億円を先に支払わせた、とされる。

 約三億四千万円が返済に使われたほか、一億五千万円も、小室容疑者が滞納した家賃や消費者金融からの借り入れを肩代わりした木村容疑者に支払われたという。

 A・Cホールディングスは「当時の担当が分からず、答えようがない」としている。

 一方、支払いをめぐる投資家との訴訟は、小室容疑者が六億円を支払うことで和解したが、六百万円しか支払われなかったという。

【写真説明】取り調べを終え、大阪地検を出る小室哲哉容疑者=4日、大阪市北区

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811050113.html