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2008年11月05日(水) 21時24分

日米同盟は試練に直面するのか産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】米大統領に当選したオバマ上院議員は日米同盟を重視する姿勢を示しているが、アフガニスタンなどでの一層の貢献を日本に求めるのは必至だ。在日米軍の再編問題も解決の見通しはたっておらず、「日米同盟は試練に直面する」(米政府関係者)との指摘が出ている。北朝鮮の核問題でも直接交渉を進めることが予想され、日本との連携をいかに保っていくかが課題となる。

 議員としての訪日歴はないオバマ氏だが、昨年の安倍晋三元首相と福田康夫前首相の訪米の際、上院本会議に訪問を歓迎し、日米同盟の重要性を強調する声明を提出した。昨年4月の民主党討論会でも「最も重要な同盟国」として、北大西洋条約機構(NATO)とともに日本を挙げ、「長年にわたって素晴らしい同盟国だ」と述べた。

 ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)アジア部長を務めたジョージタウン大のビクター・チャ教授は、「日米同盟は強固で、新政権でも変化はないだろう」と語る。ただ「課題もある」と述べ、具体例としてアフガンでの協力を挙げた。

 オバマ氏は国際テロ組織アルカーイダ掃討のため、アフガンへの取り組み強化を訴えてきた。チャ教授は「新政権としても日本の国内事情は理解するとしても、アフガンでの貢献への期待は高まるだろう」と予想する。

 チャ教授が「もう一つの課題」として挙げたのが、北朝鮮の核問題での日米協力だ。日米間では、北朝鮮へのテロ支援国家指定解除問題で軋轢(あつれき)が生じた。

 敵対国との直接対話を主張するオバマ氏は、ブッシュ政権が米朝交渉に転じたことを評価している。新政権でも対話路線を強めるとみられるが、日本と歩調をあわせていけるか、今後の日米関係にも影響を与えそうだ。

 オバマ氏は民主党討論会で日米同盟の重要性に言及しつつ、「中国の台頭は明白だ。彼らは敵でも友人でもない。競争相手だ」と述べた。昨年7月号の外交専門誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿でも、中国と競争はする一方で、協力の幅も広げる方針を示した。米政府関係者は「日本との同盟を強化しつつ、中国との協力を進めるのは難題だ」と述べた。

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