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2008年11月05日(水) 21時13分

「前へ、前へ」傷ついた自衛隊へ産経新聞

 幼いころから、自衛隊にはなじみがあります。陸上自衛隊の駐屯地が遊び場だったからです。

 「こんにちは、散髪です」。実家の近くにあった駐屯地の入り口でそう告げて敷地内に。理髪店で頭を刈ってもらうと、“自由見学”の始まりです。

 ほろつきのトラックや弾薬が入った木箱を眺めたり、会議室をのぞき込んだり…。隊員はとがめることもなく、丸刈りの頭をゴシゴシなでてくれました。1970年代。自衛隊が「日陰者」と呼ばれていたことは、ずっと後に知りました。

 取材対象として自衛隊と向き合ったのは4年前。イラク、インド洋で活躍し、ミサイル防衛や米軍再編を通じ日米同盟を進化させる「頼もしい自衛隊」。その姿を取材したのは無上の喜びでした。

 2年前に持ち場が変わり、10月に2年ぶりに防衛省担当にもどってきました。

 再会した自衛隊は傷んでいました。不祥事の続発で袋だたきにあい、「身を縮めておく時期」と事なかれ主義が広がっているようにもみえます。しかし、政策や運用、訓練は不祥事と分けて考えるべきで、そこでの事なかれ主義は害悪にほかなりません。

 中国と北朝鮮の脅威に加え、復活著しいロシア。周辺情勢はきな臭さを増しています。だからこそ「前へ、前へ」。常に、自衛隊へのこの思いを胸に記事を書いていこうと思います。(尚)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000609-san-pol