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2008年11月05日(水) 00時00分

硫化水素で殺人の手段化懸念中国新聞

 廿日市市の硫化水素騒ぎは、多発する硫化水素自殺を偽装した強盗殺人未遂事件へと発展した。市販の材料で簡単に作り出せる硫化水素が、殺人の手段となりうる危険性を浮き彫りにした。模倣性も高く、同様の犯行を防ぐために早急な対策が必要だ。

 硫化水素自殺は、作り方がネット上に書き込まれて増加。内閣府によると1—9月で876人と、すでに昨年1年間の約30倍に上っている。

 急増する自殺を背景に事件も頻発。5月には福島県で、硫化水素を使い母親を殺そうとした男が逮捕された。「硫化水素を持っている」と脅す強盗未遂事件も和歌山県などで発生。佐賀県では、息子と心中しようとした母親が殺人未遂容疑で逮捕された。

 警察庁は4月、硫化水素発生方法のネット上の書き込みを「有害情報」に指定。5月には日本チェーンドラッグストア協会も当面、材料となる商品の販売自粛を決めた。しかし、ネット上には別の材料を使った方法も書き込まれ、抜本的対策はないのが現状だ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200811050022.html