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2008年11月05日(水) 12時50分

日本政府、対オバマ政権態勢づくり急ぐ 対北朝鮮で“距離”も産経新聞

 米大統領選で民主党のオバマ候補が当選に大きく近づいたが、「オバマ次期大統領」が確定した場合も日本政府は「日米同盟は揺るぎない」として、強固な両国関係は堅持されるとの立場をとっている。しかし、オバマ氏の対日関係を含めた外交戦略は不透明な側面もあり、対「オバマ政権」への態勢を早急に整えていく方針だ。

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 河村建夫官房長官は5日午前の記者会見で「(米政権が)民主党に代わったとしても日米関係はまったく揺るぎない。これまでも政権交代はあり、日米関係を築き上げてきたので心配していない」と述べた。

 日本政府は大統領選最終版の情勢から「オバマ次期大統領」はほぼ織り込み済みでだったことから、オバマ氏勝利の流れについては淡々と受け止めている。

 麻生太郎首相は4日夜、記者団に「(共和、民主両党の)どちらになろうと日米基軸の強化が基本だ」と強調し、「ブッシュ後」の日米間の課題については「経済・金融。太平洋の安全保障など、いろいろなものがある。これまで通り日米関係がきちんと作動することが基本だ」と語った。

 政府関係者によると、首相は大統領選の結果が最終的に確定次第、オバマ氏と電話会談を調整する方向。また、15日にワシントンで開かれる金融危機に対応する緊急首脳会議に出席した際に直接会談を実現させるべくオバマ陣営に要請している。首相には「早期に日米同盟の強化の方針を確認し、来年1月の正式発足前に新政権との関係を軌道に乗せておきたい」(周辺)との思いがある。

 日本政府の民主党とのパイプは共和党に比べると心もとないとの見方はあるが「オバマ氏には有力な対日外交ブレーンに恵まれている」(日米外交筋)といわれる。オバマ氏は9月、駐日大使を務めたモンデール元副大統領、フォーリー元下院議長という党の重鎮2人を、対日政策顧問グループの名誉共同議長に据えた。日本外務省も今夏以降、オバマ陣営との人脈開拓に力を注いできた。

 ただ、オバマ氏自身、選挙戦中に対日関係について具体的に言及したことはほとんどなく、対アジア政策では共和党政権より「中国重視」の路線をにじませているのも事実だ。北朝鮮問題をめぐっても、ブッシュ大統領が踏み切ったテロ支援国家指定解除をオバマ氏は「一歩前進だ」と評価しているほか、日本人拉致問題への対応をはっきりと口にしたことはない。

 このため、政府内では「オバマ氏に対北融和的な傾向がある。北朝鮮問題では欧州や中国などとも連携を強めていかなければならない」(高官)との声も出ている。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081105-00000549-san-pol