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2008年11月05日(水) 08時02分

小室哲哉容疑者涙、容疑認めた…5億円詐取で逮捕スポーツ報知

 音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者(49)が4日午前、著作権を譲渡すると偽って兵庫県内の投資家から5億円をだまし取ったとして、詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された。大阪市淀川区のホテルから任意同行される際には涙もにじませていた同容疑者は、調べに「申し開きすることはない。刑事責任を潔く取るつもりだ」と供述しているという。ほかに、小室容疑者が役員を務めるプロダクション「トライバルキックス」(東京)の代表取締役・平根昭彦(45)、監査役・木村隆(56)の両容疑者も逮捕。また、小室容疑者は夫人のKEIKO(36)と離婚したことも分かった。

 目にはうっすらと涙がにじみ、悔しそうに唇をかんだ。白いTシャツに黒のパーカー姿の小室容疑者は、やつれきった様子だった。4日午前7時50分頃、大阪市淀川区のホテルから黒のワンボックスカーの後部座席に、地検係官に両脇を挟まれるように乗り込んだ。

 約20分後、100人以上の報道陣が集まる大阪市福島区の大阪地検の庁舎に到着。追跡したテレビ局のヘリコプターのごう音が鳴る中、報道陣が車に殺到。一斉にフラッシュが光ると、背中を丸めて力なく下を向いていた小室容疑者は、苦笑したような表情を浮かべた。その後、地検内で取り調べられ、逮捕された。

 一時代を築いたミリオンヒットメーカーも、近年は事業の失敗や前妻との離婚の慰謝料支払いで十数億円の借金を抱えていたという。小室容疑者は、被害者の投資家との交渉過程で「これでも名の知れた男。逃げも隠れもしない」と説得。自ら作った曲を「世界で1つの曲」とCDにしてプレゼントしていたことも判明した。特捜部は小室容疑者が手を尽くして投資家を信用させ、代金を支払わせたとみている。

 小室容疑者は、調べに「3人でやったことに間違いない。申し開きすることはない。反省し被害者に謝罪したい。刑事責任を潔く取るつもりだ」と容疑を認める供述をしているという。

 特捜部の調べによると、小室容疑者らは2006年8月、これまでの作品806曲分の著作権について、既に音楽出版社に譲渡し、うち主要12曲はトライバルキックス社に譲渡していたのに「過去の作品806曲フルセットに意味があるし、価値が出る」「全部僕に著作権があります」などウソを言って、10億円で売却する契約を兵庫県芦屋市の投資家男性と締結。さらに前妻に差し押さえられていた印税権利について、解除する意思がなかったが、解除代金として計5億円を支払わせ、だまし取った疑い。

 小室容疑者はこの5か月前の3月、かつて仕手戦の舞台となった投資・建設事業持ち株会社「A・Cホールディングス」(東京、旧南野建設)から“高利融資”を受け、5億円のうち約3億4000万円はその返済に充当。1億5000万円も小室容疑者の滞納家賃などを肩代わりした木村容疑者に支払われたという。木村容疑者は「月利5%という持ち株会社からの借金を返すために譲渡先を探していた」と説明した。

 5億円の支払いをめぐっては、小室容疑者と投資家は民事訴訟で争ったが08年7月、小室容疑者が6億円を支払うことで和解。しかし、解決金はわずか1%に過ぎない600万円しか支払われず、投資家が小室容疑者を大阪地検に告訴していた。

 ◆小室 哲哉(こむろ・てつや)1958年11月27日、東京都出身。49歳。83年「TMネットワーク」を結成し翌年デビュー。87年シングル「Get Wild」がヒットし、88年NHK紅白歌合戦初出場。作曲家として渡辺美里らへ楽曲提供。95年「globe」を結成。2001年に吉本興業入りも昨年6月に契約満了。昨年4月からは尚美学園大学芸術情報学部の特任教授。02年11月にKEIKOと再婚。

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