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2008年11月04日(火) 15時02分

<追徴金>未納64億円…10年間で690件毎日新聞

 有罪判決を受けて追徴金の支払いを命じられながら納めていないケースが、過去10年間で690件、総額約64億円に上ることが法務省の調べで分かった。刑法で時効が1年と定められているため、一時的に行方をくらまして納付を免れる「逃げ得」も横行しているといい、徴収業務を行う検察庁は頭を悩ませている。

 法務省刑事局によると、97〜06年度に刑が確定して追徴金の納付命令が出たのは1万1619件で、総額446億9965万円。うち約14.2%にあたる63億5753万円は、この期間に徴収できなかった。

 追徴は、犯罪で得た収益などが使われてしまって「没収」が不可能な場合に、相当額の納付を命じる処分。罰金刑とは異なり、完納できない人を労役場に収容することができない。(1)納付命令を受けた人の死亡(2)納付命令を受けた法人の解散(3)刑確定者に資力がない−−場合や、1年の時効を過ぎてしまうと徴収できない。

 このため、追徴金の徴収業務をしている全国の検察庁職員が督促を繰り返しても、対象者が行方をくらますことによって1年が経過して時効になり、徴収できないケースが相次いでいるという。

 最高検の酒井邦彦総務部長は「担当職員は納付義務者が仕事をしている場合は早朝や深夜に電話したり、自宅を訪問するなど苦労して催促しているが、着信拒否されたり、逆に脅されるようなケースもある。少額でも一部の金額を徴収すると時効が中断するので、そうした措置を講じる努力もしているが、慢性的に人員が不足している」と話している。【伊藤一郎】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000055-mai-soci