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2008年11月04日(火) 05時03分

小室氏「時代の寵児」転落の軌跡産経新聞

 数々の人気アーティストを育て上げたかつての「時代の寵児(ちょうじ)」の身に一体何が起きたのか。著作権譲渡に絡む5億円の詐欺容疑が浮上した小室哲哉・音楽プロデューサー(49)。ミリオンセラーを連発し、長者番付に名を連ねるなど数々の伝説を残したが、その後事業に失敗、多額の負債を抱え込んだ。芸能関係者は「時代の移り変わりを読めず、放蕩(ほうとう)生活から抜け出せなかったのでは」と指摘している。

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 ■高額納税者

 「豪邸を構えた米国のロサンゼルスに行くとき、渡航費用は片道だけで2000万円もかけていた。ファーストクラスを全席貸し切りにするというばかばかしい金の使い方をしていた」

 小室プロデューサーの全盛期時代をよく知る芸能ジャーナリストはこう語る。

 時代を読み取るセンスと音楽的才能で、手掛けた曲は軒並み大ヒットを記録。音楽業界で権威を誇る「日本レコード大賞」(TBS)を平成7〜10年まで4年連続で受賞した。

 一時は年間のCD売上高が400億円を超え、年収は20億円以上。8〜9年の高額納税者番付では全国4位にランクインした。当時、ロスやハワイに豪邸やスタジオ、ヨットを所有し、フェラーリやベンツなど何台もの高級外車を乗り回していた。

 日本国内にとどまらず、常に世界を意識していたのか。「TKと呼んでほしい」と自ら周囲に持ちかけ、そう呼ばれるとうれしそうな表情をみせたという。

 ■香港事業の失敗

 日本で頂点を極めた小室プロデューサーが転落する契機となったのは10年。香港に音楽関連会社を立ち上げたことだ。

 関係者によると、当初は中国でも人気となったが、海賊版などが出回り、やがてその経営が傾き始める。上場した株価も大暴落し、数十億円の負債を抱え込んだといわれる。

 芸能関係者は「そのころから世間が求める音楽とズレができ、人気にも陰りが出始めた」と語る。

 「昨年の夏ころから、投資家の人から(金を返せという)電話がよくありました。小室さんには伝えたが、事務所から『心配しなくてもいいですから』といわれていましたので…」

 小室プロデューサーの妻で、人気グループ「globe」のボーカル、KEIKOさんの母親は言葉少なに話した。

 ■最後の手段

 私生活の破綻(はたん)も小室プロデューサーを追いつめた。

 14年に元妻と離婚、約10億円の慰謝料と養育費を抱え込んだ。その支払いも16年8月にストップ。17年9月にはサッカーJ1「大分トリニータ」のスポンサー料7000万円を滞納していたことも発覚した。

 借金返済のために別荘やヨット、高級外車はすべて売却。これまでは出なかったバラエティー番組にもたびたび出演した。

 それでも莫大(ばくだい)な借金は残った。窮地に追い込まれた小室プロデューサーにに残された最後の手段が、ミリオンセラーなど過去の“栄光”を詐欺に使うことだったのか…。

 芸能関係者は「仕掛けた事業がことごとく裏目に出て失敗し、泥沼化してしまったのだろう」と話した。

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