記事登録
2008年11月04日(火) 05時01分

小室哲哉氏 関連会社に著作権「二重譲渡」…数億円借金毎日新聞

 音楽著作権を巡る詐欺疑惑が浮上した小室哲哉・音楽プロデューサー(49)が、既に音楽出版社に譲渡していた一部楽曲の著作権を自分の関連会社に「二重譲渡」していたことが大阪地検特捜部の調べで分かった。さらに、その著作権を担保に数億円の借金をしていたことも判明。特捜部は、小室プロデューサーがなりふり構わず著作権を悪用していたとみており、5億円詐欺疑惑とともに実態解明を進める。

【関連写真特集】小室哲哉氏の活動を写真で振り返る

 二重譲渡の疑惑があるのは、小室プロデューサーが作詞や作曲をした計34曲。96〜97年に発売され、200万枚を超える売り上げを記録した安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」やglobeの「DEPARTURES」などのヒット曲が多数含まれている。

 特捜部によると、これらの曲は楽曲を管理する音楽出版社が著作権を保有する。ところが小室プロデューサーは自らが著作権を持っているように装い、知人が経営し、自らも役員を務める音楽関連会社などに著作権を譲渡した形で文化庁に登録していた。

 文化庁への登録は義務ではなく、一般的に音楽出版社が登録するケースは少ないという。出版社は小室プロデューサーから譲渡を受けた際、登録していなかった。ただ文化庁著作権課によると、同じ曲の著作権が二重譲渡された場合、同庁に登録している方が法的に有効という。

 特捜部は、小室プロデューサーが音楽関連会社を経営する知人に借金していたことをつかんでおり、文化庁の登録制度を悪用して、不正な権利移転を図ったとみている。

 小室プロデューサーは、00年ごろから人気にかげりが出て、アジアのアーティストを発掘する事業などを始めたがうまくいかずに負債を抱え、最近は音楽出版社が持つ楽曲の著作権を、金融業者などに勝手に担保として差し出していたという。

【藤田剛、林田七恵】

 ◇推定年収20億円…2年連続長者に

 小室哲哉プロデューサーは84年にデビューした。渡辺美里さんに提供した「My Revolution」が86年の日本レコード大賞金賞を受賞。90年代には華原朋美さん、安室奈美恵さんらをプロデュースし、ダンス音楽に女性ボーカルを乗せた「小室サウンド」で、ポップ音楽界を席巻した。

 96、97年の高額納税者番付で連続で全国4位になり、推定年収20億円と言われた。

 その後、00年7月に開かれた九州・沖縄サミットでは、当時の故小渕恵三首相の依頼でイメージソングを制作。01年には吉本興業とマネジメント契約を結んだが、07年に契約終了した。

【関連ニュース】
<関連記事>小室哲哉氏:詐欺容疑で逮捕へ 著作権譲渡と5億円
小室哲哉、和製アンビエント・シリーズの第3弾
TRF 「音楽シーンを変えた15年」
小室哲哉が新曲をiTunes Store限定で配信
小室哲哉:老舗メイドカフェを“ジャック” メイドのプロデュースに挑戦

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000006-maip-soci