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2008年11月04日(火) 23時12分

<国民会議>社会保障強化求める 消費税6〜13%増毎日新聞

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大大学院教授)は4日、最終報告をまとめた。「社会保障の機能強化」と、その実現に向け「必要な財源を安定的に確保する改革」の必要性を打ち出したのが特徴で、社会保障費の伸びを毎年2200億円ずつ抑制してきた小泉政権の構造改革路線から、社会保障重視に軸足を移すよう求めた。ただ、基礎年金(国民年金)の財源問題など、焦点になっている政策の可否には踏み込まなかった。

 社会保障費の見通しでは、高齢化のピークを迎える2025年度で、年金、医療・介護、少子化対策の充実に新たに要する税金は消費税率換算で6〜13%程度(1%=約4兆円)との試算を明記。社会保障全体の具体的な必要額を盛り込まなかった6月の中間報告に比べ、増税の必要性を強くにじませた。

 財源確保に関しては「国民の理解を得ながら具体的な取り組みに着手すべきだ」とするにとどまったが、政府の経済財政諮問会議で議論される見通し。政府は社会保障と税制抜本改革に関する中期プログラムを年内に策定する方針で、今後、消費税を含めた財源論議が本格化しそうだ。

 最終報告は中間報告の後、医療・介護の連携を重視した「あるべき姿」に改革するのに必要な推計額などを加え、まとめた。

 基礎年金の財源問題をめぐっては、先の試算などを踏まえ、25年度で、財源をすべて税で賄った場合、社会保障全体の税負担増は消費税率換算で9〜13%程度、現行の社会保険方式を維持した場合は6%程度との試算を示した。ただ、どちらを選ぶべきかに関しては見解を示さず、「議論がさらに深まることを期待する」と記すにとどまった。

 最終報告はまた、最低賃金引き上げの重要性▽若年層が生活保護から抜け出す力をつけるための政策の必要性−−も盛り込まれた。

 国民会議は今年1月、福田康夫前首相の下に設置された。【堀井恵里子】

■最終報告のポイント

▽社会保障費を賄う追加的な税負担は25年度に消費税率換算で6〜13%程度

▽財源を安定確保する改革に真剣に取り組むべき時期

▽最低保障額の設定など基礎年金の最低保障機能強化が大きな課題

▽手術を要する急性期医療に人的・物的資源を集中投入し、早期の家庭・社会復帰を実現

▽男性の育児参加など仕事と生活の調和を推進

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000147-mai-pol