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2008年11月04日(火) 22時24分

小室哲哉容疑者を逮捕 借金で困窮、大阪地検中国新聞

 大阪地検特捜部は四日、八百六曲の音楽著作権を譲渡すると偽り、兵庫県の投資家から五億円をだまし取ったとして、詐欺容疑で音楽プロデューサー小室哲哉こむろ・てつや容疑者(49)ら三人を逮捕、東京都港区の自宅や事務所など関係先を家宅捜索した。

 一九九〇年代に数々のヒット曲を生み出した小室容疑者は近年、事業の失敗や前妻への離婚慰謝料支払いで十数億円の借金を抱えていたという。

 小室容疑者は調べに「三人でやったことに間違いない。申し開きすることはない。反省し被害者に謝罪したい。刑事責任を潔く取るつもりだ」と供述しているという。

 ほかに逮捕されたのは、小室容疑者が役員を務めるプロダクション「トライバルキックス」(東京)の代表取締役平根昭彦ひらね・あきひこ(45)、監査役木村隆きむら・たかし(56)の両容疑者。

 特捜部の調べなどによると、小室容疑者らは二〇〇六年八月、これまでの作品八百六曲分の著作権について、既に音楽出版社に譲渡し、うち主要十二曲はト社にも二重譲渡するなどしていたのに、「全部僕に著作権があります」などとうそを言って、十億円で売却する契約を兵庫県芦屋市の投資家男性と締結。さらに前妻に差し押さえられていた印税収入の権利について、解除する意思がないのに、解除代金として計五億円を支払わせ、だまし取った疑い。

 小室容疑者はこの五カ月前の三月、かつて仕手戦の舞台となった投資・建設事業持ち株会社「A・Cホールディングス」(東京、旧南野建設)から“高利融資”を受け、五億円のうち約三億四千万円はその返済に充当。一億五千万円も小室容疑者の滞納家賃などを肩代わりした木村容疑者に支払われたという。

 木村容疑者は共同通信の取材に「月利5%という持ち株会社からの借金を返すために譲渡先を探していた」と説明した。

 小室容疑者は投資家との交渉過程で「これでも名の知れた男。逃げも隠れもしない」と説得し、自ら作った曲を「世界で一つの曲」とCDにしてプレゼントしたという。

 この五億円の支払いをめぐり、小室容疑者と投資家は民事訴訟で争ったが、〇八年七月、小室容疑者が六億円を支払うことで和解。しかし、六百万円しか支払われず、投資家が小室容疑者を大阪地検に告訴した。

 小室容疑者は一九八四年、バンド「TMネットワーク」でデビュー。九〇年代には、音楽プロデューサーとして安室奈美恵あむろ・なみえさんの「CAN YOU CELEBRATE?」など百万枚以上のCDを売り上げるミリオンセラーを連発した。

【写真説明】<左>大阪地検に向かう小室哲哉容疑者=4日午前8時9分、大阪市北区<右>大勢の報道陣に囲まれ、大阪地検に入る小室哲哉容疑者(車内奥)を乗せた車両=4日午前8時10分、大阪市福島区

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811040175.html