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2008年11月04日(火) 15時00分

音楽業界も刷新するiPhoneアプリWIRED VISION

音楽アーティストやレーベルは、ファンとの結びつきを強め、よりたくさんの音楽を購入してもらう新しい方法を手にした——その方法とは、携帯向けのアプリケーションだ。携帯アプリには次の『MySpace』になれる可能性がある。

『iPhone』はポッドキャストや『iTunes Store』にも対応していることを考えると、単独アプリでの音楽配信はそれほどスマートなやり方には思えないかもしれない。しかし、単独アプリは自由度が高いので、アーティストとファンとの距離をさらに縮めるためには絶好の手段となるのだ。

iPhoneアプリは、音楽のプロモーションや配信における有力なプラットフォームになりつつある。(自画自賛するつもりはないが、ワイアード・ニュースでは8月の時点でこの事態を予想していた(英文記事))

iPhoneアプリを利用すると、音楽、画像、ニュース、動画などのコンテンツをファンの手元に無料配信でき、アプリにはiTunes Storeの「購入」リンクも入れられる。[ほかの英文記事によると、Apple社はiTunesでは1曲99セントという原則を貫いているが、iPhoneアプリとしてほかのコンテンツも入れた形で配信すると、ミュージシャン側で最高999.99ドルまで好きに決められるという利点もあるという]

好きなバンドがiPhone向け(あるいは『Android』向け)のアプリを用意していたら、対応機種をもっている人はダウンロードすることだろう。バンド側は、バンドの名前を冠した、悪意のない「トロイの木馬」をファンの携帯電話に送り込んでいるようなものだ。一度ダウンロードされれば、こうしたアプリはファンに手元に置いて欲しいコンテンツを送り込み、新たにかき立てられたバンドへの興味をセールスへとつなげる容易な手段となる。

この分野で最初に一石を投じたのは、レコードも出しているプロのアーティスト、P!nk(ピンク)。無料のiPhoneアプリ『P!nk's Funhouse』(iTunes Storeへのリンク)を提供した。『Billboard』誌によると、P!nkのiPhoneアプリには、最新アルバムに収録された各曲の試聴機能(30秒間)、ニュース、画像、そして「あなたとP!nkの音楽をつなぐための必需品」が含まれているという。

同様のアプリケーションを企画しているアーティストの噂は、ほかにFall Out BoyやSnow Patrolなどがある。

また、Nine Inch Nails(NIN)は、iPhoneアプリ『Tap Tap Revenge: Nine Inch Nails Edition』(5ドル)をリリースした。NINのさまざまな曲に合わせてマルチプレーヤーによるオンライン・ゲームができるものだ。スコアが15万を超えると、サイン入りのLes Paulギターや、Nine Inch Nailsコンサートのチケットなどが貰えるチャンスが得られる。

P!nkのプロモーション・アプリは、第一弾としては実にすばらしい出来だ。試聴画面[スクリーンショット左下にある「Music」をタップ]では最新アルバムのすべての曲を試聴できるほか、発売後はフルバージョンを各曲ごとに購入でき、友人に試聴を勧める電子メールを送ることもできる。

ニュースのページ[News]は、P!nkのスタッフがファンに読んで欲しい、P!nkに関するさまざまな最新情報が掲載される。

画像のセクション[Images]では、指で横方向にフリックして、P!nkの写真の数々を見ていくことができる。iPhoneの「写真」の操作と同じ要領だ。

その他のセクション[More]は、まだまだ追加の余地はあるものの、各アルバムについてiTunes Storeの「購入」リンクとライナーノートがそろったディスコグラフィー、P!nkの公式バイオグラフィー、『P!nk's Page』へのリンクがすでに配置してある(最後のリンクを私がタップしたところ、どういうわけかiPhoneがクラッシュしてしまった。何ごとも完璧にはいかないものだ)。

次の段階としては、iTunes Storeのアプリを販売する機能を利用してバンドから「定期的な情報提供」を実施する、本当の意味での配信が考えられる。最新のレコーディング、写真、ニュースといったものがThe Fallから私のiPhoneにリアルタイムに近い形で届くのならば、私は年間40ドルを支払う。ほかの人も、お気に入りのバンドについてはそれをいとわないはずだ。賭けてもいい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000004-wvn-sci