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2008年11月04日(火) 00時00分

視覚障害者、好記録に涙中国新聞

 2人を結ぶ黄色のロープが揺れ続けた。3日に広島市西区であった第28回ひろしま国際平和マラソン。京都府南山城村、僧侶で視覚障害者の二宮銀鏡さん(60)は10キロを完走した。隣には、初めてコンビを組んだ伴走の会社員礒本和典さん(44)=呉市。ともに喜びのテープを切った。

 二宮さんは左目にかすかに光を感じるが、右目は見えない。「坂、下ります」「右に曲がります」。礒本さんの声に二宮さんがうなずく。しっかりとした足取り。「競技場です」。最後の先導に、二宮さんが加速した。

 1時間18分36秒。昨年を5分上回る好記録に涙が止まらない。二宮さんは「初コンビだったのに気持ちよく走れた」と相棒に何度も頭を下げた。

 昨年、初めて出場した平和マラソンは、力をためす大切な機会。しかし、当時の伴走者の都合がつかず、新たな伴走者を探し始めたの9月からだった。

 「ランナー同士、力になりたい」。伴走を務めている礒本さんにたどり着いた。「来年もやっていただけますか」。「はい。ぜひ」。2人はゴールでロープを置き強く手を握り合った。

【写真説明】黄色のロープをしっかり握り、力走する二宮さん(中央)と礒本さん(撮影・山本誉)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200811040017.html