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2008年11月04日(火) 16時03分

小室容疑者、大物の名を融資に悪用 「マードック氏と会社」産経新聞

 「小室ファミリー」と呼ばれた一大グループを率いて日本の音楽シーンを席巻したヒットメーカーに、かつての栄光の面影はなかった。4日、5億円の詐欺容疑で大阪地検特捜部に逮捕された音楽プロデューサー、小室哲哉容疑者(49)。被害者にメディア王や歴代総理など「大物」との人脈を誇示して信用させ、「小室サウンド」の権利自体を悪用した。“セレブ生活”から一転、多額の借金の返済に追われ、なりふり構わず金策に走った姿が浮かび上がる。

 「メディア王・マードック氏と会社をつくる」

 「(会社設立は)歴代総理にも話している」

 小室容疑者が5億円をだまし取ったとされる兵庫県内の個人投資家(48)に話した言葉だ。

 小室容疑者は平成18年7月30日、東京都内のホテルで投資家と面会。米国や英国など世界のメディアを牛耳ってきたルパート・マードック氏の名前を挙げ、音楽配信事業の会社を設立する話をした。

 小室容疑者とマードック氏は8年に香港で合弁会社を設立した関係があったが、18年以降、実際に配信事業の会社は設立されていないという。

 さらに小室容疑者は投資家に「歴代総理とも面談しており、特に自民党の代議士とは将来の音楽配信で意気投合した」「鉄道会社の元オーナーには数百億円単位のオファーを受けている」などと話し、さかんに音楽配信事業の会社への融資を呼びかけた。

 それ以前の6月9日には、同じく逮捕された平根昭彦容疑者(45)ら2人が会社設立の話を投資家に持ちかけ、「融資してくれたら、5億円を数カ月で7億円にして返す」とうそを言って金を引き出そうとしたという。

 しかし、投資家は「芸能界は信用できない」と融資を拒否し、「音楽著作権の売買と融資の話を別にしてほしい」と回答。結局、今回の著作権譲渡だけの話で決着した。

 一方、小室容疑者は、元ライブドア社長の堀江貴文被告(36)=旧証券取引法違反罪で有罪判決、上告=に対しても共同事業を持ち掛けていた。

 17年11月ごろ、東京・西麻布の自宅で堀江被告と会い、「米国の音楽版権を中国に向けて着うた配信できる」などと約2時間、熱弁をふるったという。

 米国の版権ビジネスの購入も持ちかけたが、堀江被告はその直後の18年1月、東京地検特捜部に逮捕されたため、共同事業は実現しなかった。

 インターネット上で近況を報告する小室容疑者のブログの書き込みは今年6月15日を最後に途絶えていた。

 「やらなければならないことはやはり確実にやらないとだめなぁんですね、この時代。僕でいえば、作曲、しかも、ヒット曲!をだすとかね」

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000080-san-soci