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2008年11月04日(火) 15時02分

「小室旋風」消え転落…派手な生活、金銭問題続々読売新聞

 1990年代にミリオンセラーを連発し、超売れっ子音楽プロデューサーだった小室哲哉容疑者(49)の逮捕は、音楽業界やファンに衝撃を与えた。

 絶頂期には納税額が10億円を超え、高額納税者番付の上位に入ったが、最近はヒット曲にも恵まれず、金銭的なトラブルが絶えなかった。

 4日朝、涙を浮かべながら大阪地検特捜部の任意同行に応じた小室容疑者からは、かつての「時代の寵児(ちょうじ)」の面影は消えうせていた。

 小室容疑者は同日午前7時50分ごろ、宿泊していた大阪市淀川区のホテルロビーに大阪地検の係官に連れられ、姿を見せた。白いTシャツに黒色の上着姿。涙を浮かべ、硬い表情で駐車場に向かうエレベーターに乗り込み、「ファンに一言」と呼びかけられても、無言のままだった。同地検の庁舎前で数百人の報道陣が車を取り囲むと、ぼうぜんとした表情を浮かべた。

 小室容疑者は90年代、50日足らずでCDアルバムを400万枚売り上げるなど、数々のヒット曲を生み出し、96年分と97年分の所得でいずれも全国4位の高額納税者となった。曲を作ってほしいという依頼が殺到。米ロサンゼルスやハワイに豪邸を構え、海外旅行の際に搭乗機のファーストクラスを全席押さえたり、都内の高級ホテルでスイートルームのあるフロアを借り切ったりするなどして、常にマスコミの注目を集めた。

 しかし、5年ほど前からは目立ったヒット曲もなく、今年3月には妻で「globe」のKEIKOさん(ソロ活動ではKCO)の新曲CDを手がけたものの、2万枚に届かなかった。アジアでの事業展開を狙って、資本参加して香港で設立した音楽関連会社を巡る事業の失敗などで数十億円の債務を抱えた。

 その一方、生活ぶりが変わることはなく、小室容疑者夫妻のクレジットカードの支払いが数千万円に上ることもあった。東京・西麻布にある家賃計280万円のマンションに、今も自宅と事務所を置いている。

 それに伴って、金銭トラブルが急増。2005年には自身が取締役を務める「トライバルキックス」が、サッカーJ1・大分トリニータへの約7000万円のスポンサー料を滞納。06年には、離婚した前妻への慰謝料と長女への月200万円の養育費の支払いに窮し、「収入減と債務増大で経済的破綻(はたん)の危機にある」と慰謝料の減額を求めて東京家裁に調停を申し立てたが、認められなかった。

 最近は所属していた音楽会社の社員でも電話やメールで連絡がとれない状態だった。「食事は、弁当やファストフードで済ませている」(関係者)といい、先月30日に東京・六本木ヒルズで開かれたイベントには、「スケジュールがつかない」と夫婦で“ドタキャン”した。

 こうした振る舞いについて、支援者らからも「助けようとしても裏切ってばかり」「借金で苦しんでいると聞き、支援した。頑張ると言っていたのに……」と厳しい声が上がっていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000028-yom-soci