記事登録
2008年11月04日(火) 10時35分

小室哲哉容疑者ら3人逮捕、著作権巡り5億円詐取の疑い読売新聞

 音楽著作権売却話を巡る詐欺事件で、大阪地検特捜部は4日午前、音楽プロデューサー・小室哲哉容疑者(49)(東京都港区)ら3人を詐欺容疑で逮捕し、小室容疑者の自宅などを捜索した。

 売却名目で詐取した5億円のうち3億3000万円は、ジャスダック上場企業の「A・Cホールディングス」(同)に対する借入金の返済に充てられ、残りはクレジットカードの決済などに充てていたことが判明。特捜部は、同社に対する借入金の返済期限が迫っていたことが犯行の引き金になったとみている。

 調べに対し、小室容疑者は「間違いない。私から弁解することはない。被害者には申し訳ない。潔く刑事責任を認め、弁償したい」と容疑を認めている。

 他に逮捕されたのは、小室容疑者が取締役を務めるイベント企画運営会社「トライバルキックス」(東京都港区)社長・平根昭彦(45)、同社監査役・木村隆(56)両容疑者。2人も容疑を認めている。

 捜査関係者によると、小室容疑者らは共謀し、2006年7〜8月、東京都港区のホテルで、兵庫県芦屋市の会社社長(48)と面会し、自ら作詞・作曲した806曲について、「全著作権が僕にあります」などとうそを言い、売却代金(10億円)のうち5億円をだまし取った疑い。

 社長との面会前、3人は「著作権が自由にならないことを社長に言えば、話に乗ってこないだろうから隠そう」と話し合っていたという。

 小室容疑者は806曲の著作権を音楽出版社に譲渡する一方、主要な12曲をトライバルキックスに、290曲を別の会社に「二重譲渡」していたが、こうした事実を社長に隠していた。

 また、5億円は小室容疑者名義の口座に振り込まれていたが、その後、1億5000万円は木村容疑者への借金返済に、3億3000万円は、A・Cホールディングスへの借入金の返済にそれぞれ充てられ、2000万円は小室容疑者が使ったクレジットカードの決済などに使われていた。

 トライバルキックスは06年3月、A・Cホールディングスから3億円の出資を受け、2か月後に全額を返済する「業務協定書」を締結。担保は小室容疑者の著作権使用料請求権で、同容疑者が連帯保証人となり、同8月末までに3億3000万円を支払うことや、払えなかった場合は担保権を実行することを確認した。

 著作権使用料の請求権は、一部がすでに前妻に差し押さえられており、担保価値が低く、借入金の返済に充てることは困難だったため、著作権売却話を計画したとみられる。

 A・Cホールディングスは建設会社などを傘下に置く持ち株会社で、前身は「南野建設」。同社株は不正な株価操作の対象になり、昨年11月、大物仕手筋の西田晴夫被告(58)が旧証券取引法違反(相場操縦)罪で起訴され、公判中。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081104-00000007-yom-soci