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2008年11月03日(月) 18時17分

公募債1000億円を4都府県市延期 広島県も10月見送り中国新聞

 世界的な金融危機に伴う債券市場の混乱で、十月に市場公募地方債の発行を予定していた十六都道府県市のうち、愛知県など四都府県市で延期していたことが三日、分かった。これらの自治体の十月発行予定額は計一千億円だった。

 総務省は「一時的な現象であり、本年度内には通常に戻る」とみているが、利回りの乱高下などの混乱が長期化すれば、買い手がつかずに自治体は利率を上乗せした地方債の発行を強いられる可能性があり、財政の圧迫要因になる。

 十月に予定していた市場公募債の発行を延期したのは、東京都(十年債三百億円、二十年債二百億円)、愛知県(五年債二百億円)、大阪府(五年債二百億円)、川崎市(二十年債百億円)の四自治体。このほか兵庫、広島両県と大阪市が、来年三月までに総額四百億—千七百五十億円の発行を検討しているが、十月は見送った。

 十月十日には、北海道が同月末に発行した五年物市場公募債が金利1・70%と、九月発行分より0・42%上昇。発行額は二百億円で、五年間の償還にかかる金利負担が計四億二千万円増えた。同日は株価暴落に大和生命保険の経営破たんが重なり「市場は正常な判断ができない状態」(愛知県財政課)だったという。

 総務省は「自治体の信用力は低下していない」と強調するが、市場関係者は「信用力のある自治体でも国債との金利差が拡大傾向にあり、楽観できない」としている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811030257.html