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2008年11月03日(月) 18時32分

<公務員制度改革>スピード審議に「骨抜き」懸念も毎日新聞

 次期衆院選の先送りを受け、政府の公務員制度改革が再び動き始めた。有識者からなる公務員制度改革推進本部顧問会議のワーキンググループ(WG、主査・桜井正光経済同友会代表幹事)は5日から集中審議に入り、各府省の幹部人事を一元化する「内閣人事局」について13日に一定の結論を出す方針。ただ、10月15日の初会合から1カ月足らずのスピード審議に、政府・与党内から「かえって骨抜きになる」との懸念も出ている。

 6月施行の公務員制度改革基本法は、内閣人事局について「1年以内をめどに法制上の措置を講ずる」としている。しかし、福田康夫前首相の突然の退陣やその後の解散をめぐる動きで、作業が停滞していた。

 議論の主体となるWGは、安倍内閣時代から改革に携わってきた作家の堺屋太一氏、評論家の屋山太郎氏ら11人がメンバー。今後、13日までに計4回の会合を予定している。

 WGは初会合で「11月中旬までに予算措置が必要な関連項目を整理する」と決めた。内閣人事局を09年度に設置するには、年末の予算編成に向け、11月中に予算・組織要求する必要があるためだ。

 しかし論点は、幹部候補者の適格性を審査する基準▽官房長官が作成する幹部候補者名簿の中立性担保−−など多岐にわたる。

 自民党内でも意見が分かれている。10月28日に首相官邸で麻生太郎首相と会談した中馬弘毅党行革推進本部長は「来年度に発足させる。首相も『やろうじゃないか』という意見だ」と記者団に語った。だが、基本法制定を主導した「急進派」の渡辺喜美元行革担当相は「議論の時間が足りないと骨抜きになる。設置を急ぐべきではない」とブレーキ役に回っている。

 「『法制上の措置』は必ずしも来年度設置を意味しない」(関係省庁幹部)という法解釈も根強い。甘利明行革担当相は10月31日の記者会見で「詰められないときは政治判断せざるを得ない」と述べ、議論の紛糾を見越し早くも予防線を張る。【塙和也】

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