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2008年11月03日(月) 00時00分

氷河期再来か読売新聞


求人ファイルを見たり情報交換したりする学生たち(名古屋市千種区の名古屋大就職支援室で)=稲垣政則撮影
就職戦線 超売り手市場一転 学生危機感

 金融危機の影響は、学生の就職戦線にも影を落としつつある。10月から週に1度、3年生を対象に就職ガイダンスを始めた名古屋大。例年、この時期の参加者は、1回に300人ほどだが、今年はその2倍以上が詰めかけている。

 リクルートの調査では、来春卒業予定の大学生・大学院生の就職求人倍率の推計は、1992年度以降最も高い2・14倍。数字の上では「超売り手市場」は続く。だが、金融危機で変化の兆しが見え始め、大学や学生らは危機感を強める。

 ガイダンスには企業の人事担当者も招く。終了後、学生らは担当者を取り囲んで質問攻めにする。同大3年の男子学生(21)は「どうなるか不安。なんとか景気が持ち直してほしい」と話した。

 同大就職支援室も「採用に使う経費を減らす企業も出ている。影響の大きい金融関係などは昨年のように多く採用してもらえないかもしれない」と不安げだ。

4年生に内定取り消し打診

 南山大でも同じ危機感を抱く。同大キャリア支援室は「9月ごろから、大学を訪れる企業がぐっと減った。採用活動が急に慎重になった感じがする」と話す。同大でも6月から就職ガイダンスを実施しているが、やはり例年より参加者が大幅に増えているという。

 愛知県内の私立大学の4年生は、10月に企業側から内定取り消しを打診された。相談を受けた大学の就職担当者は「内定の取り消しが出てくるのは覚悟している。求人も6月ごろから減っている」と頭を抱える。

 高校生の就職にも影響が出始めている。若者向けのハローワーク「愛知学生職業センター」によると、来春卒の高校生対象の求人を取り下げる企業が昨年より15%ほど多くなっているという。

 同センターの山口晴久室長は「就職戦線は一度冷え込むと、立ち直るのに時間がかかる。来年以降、先行きは不安。早く回復してくれることを祈るだけです」と話した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/kishimu/kishimu081103_02.htm