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2008年11月03日(月) 20時33分

<裁判員制度>引き受け弁護士の確保が共通課題に毎日新聞

 09年5月の裁判員制度スタートに向けて、引き受ける弁護士の確保は全国の弁護士会にとって共通の課題になっている。毎日新聞が全国52弁護士会を対象に行った調査では、18会が国選弁護人選任をスムーズに進めるため専用名簿を作成する方針で、制度に詳しい弁護士によるサポート態勢を構築する会もある。管轄エリアが広域に及ぶ会は「捜査段階からの継続的な弁護が難しい」と指摘する。

 東京の3弁護士会は、重大事件の捜査段階で容疑者を弁護する国選弁護人の名簿を、そのまま裁判員制度を担う国選弁護人の名簿に移行する予定。7月時点で約1300人が登録し「十分な数になった」という。模擬裁判や会内の研修を経験した約400人によるサポート名簿も作り、争いのある事件などに加わってもらい先に選任されている弁護人を支援する。

 大阪や愛知県、横浜など大規模な弁護士会も専用名簿を作り、中小規模会も「弁護技術に不安を抱く弁護士もおり、全員を対象者にするのは困難」(京都)と作成を進める。

 専用名簿を作らない会は「会員全員で対応すべきだ」と説明するところが多く「特別な名簿を作ると避ける弁護士が出てくる」(釧路、沖縄)との声も。札幌、仙台、和歌山、熊本県などは経験を積んだ弁護士による支援を予定。香川県は専用名簿を作成中だが「義務化も検討する必要がある」と話した。

 一方、広い管轄地域を抱える会は、地裁から離れた場所で起きた事件での対応に悩む。長崎県では離島の事件の場合、長崎市の弁護士が容疑者に接見したり、現地の弁護士が連日開廷に対応するのは難しい。弁護士会は捜査段階では両地域から事情に合わせて国選弁護人を選んでもらい、裁判では公判が開かれる長崎地裁(長崎市)に近い弁護士が対応する仕組みを検討する。

 兵庫県でも日本海側で起きた事件は起訴までを現地の弁護士が担当し、公判を神戸地裁や地裁姫路支部周辺の弁護士が引き継ぐリレー方式を採用せざるを得ないという。しかし「被告との信頼関係から本来は一貫した弁護が必要。裁判員裁判を行う裁判所を増やすべきだ」と話す。

 各地の弁護士会は、国選弁護人が複数選任されることを前提に対応策を検討。最高裁は07年7月、複雑な事件や容疑者・被告が否認している場合は柔軟に複数の選任を認めるよう全国の地裁に文書を出したが、弁護士側は原則として複数選任を要望している。

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