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2008年11月03日(月) 20時31分

<裁判員制度>「対応態勢整っている」は6割 弁護士会毎日新聞

 来年5月に始まる裁判員制度を巡り、全国の52弁護士会のうち、担当できる弁護士を確保するなど準備態勢が整いつつあるのは約6割の30会にとどまることが毎日新聞の調べで分かった。「予定通り制度を開始すべきだ」と明確に答えたのも半数の24会で、制度スタートに向け、弁護士側の態勢整備が改めて課題として浮き彫りになった。

 毎日新聞は8月下旬〜9月、各地の弁護士会の裁判員制度担当副会長らに、担当弁護士確保のほか、連日開廷が可能かなど準備状況を尋ねた。その結果、「対応可能」「めどはついた」としたのは東京の3会や大阪、横浜などの各弁護士会。これに対し岩手は「苦しい」、茨城県は「刑事専門の弁護士がいない。厳しい」と答えた。ともに人口に対する弁護士の数が全国で最も少ない地域だ。

 そのほか「現状では連日開廷に対応できない」(長野県)、「対応できるが、研修参加は若手中心で、中堅、ベテランの関与が不足」(千葉県、山口県)などの声が上がった。埼玉は制度を担う国選弁護人の希望者を募ったが、目標の100人に対し49人しか名乗り出なかった。

 今後の課題では、国選弁護人の選任数について、1人ではなく原則複数を求める声が多く、「強盗殺人の否認事件の集中審理には3〜4人必要」(大分県)との意見も。連日開廷中の夜間、休日接見や公判前整理手続きでの検察側による全面証拠開示、国選弁護報酬増額の要望も目立った。

 一方、予定通りの制度スタートを求めた24会は、「閉塞(へいそく)感のある裁判を変えるチャンス」(大阪)、「市民参加の産声を上げることが大事」(滋賀)−−などと答えた。これに対し、新潟県と栃木県の2会は開始延期を求める決議をした。ともに準備は進めているものの、新潟県では制度反対の声が強まっているという。岡山も審理期間再検証や多数決による死刑評決の見直しなどを政府に提言。札幌は「無批判に推進できない」と話し、埼玉も制度賛成・反対で会が割れていた。

 他の弁護士会は▽延期の声はない▽賛成でも反対でもない▽回答しない−−などだが、内部に反対論がくすぶる会は少なくない。【まとめ・北村和巳】

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