パナソニックが三洋電機の買収に向け、優先株を保有する米大手ゴールドマン・サックスなど金融三社と協議入りすることが一日、分かった。年内の基本合意を目指す。実現すれば大手電機メーカー同士による国内初の本格的な再編となり、単純合算で年間売上高十一兆円を超える最大の電機メーカーが誕生する。
パナソニックは買収を通じ、携帯電話やノートパソコン向けに成長を続けるリチウムイオン電池など充電池事業で圧倒的な世界シェアを確保するとともに、自社で持たない太陽電池事業も手に入れたい考え。
ゴールドマン、大和証券SMBC、三井住友銀行の金融三社は二〇〇六年三月、優先株計約四億三千万株を総額三千億円で引き受けた。三社の優先株は普通株に換算して発行済み株式の約七割(議決権ベース)に当たり、現在の三洋の株価で計算すると約六千二百億円。パナソニックは大部分を取得、三洋をグループ傘下に置くとみられる。
ただ、優先株の売却価格などをめぐって金融三社の間に思惑の違いもあり、交渉がスムーズに進むかは不透明だ。
三洋はリチウムイオン電池など充電池を事業の柱と位置付け、一〇年度までの三年間で計千二百五十億円を投資する計画だ。パナソニックも約一千億円を投資して一〇年度に新工場を大阪市に建設する計画を発表済み。このため、両社が進める大型投資計画が重複しないように調整が課題となりそうだ。
パナソニックは十月に松下電器産業から社名を変更。〇九年度に連結売上高を十兆円にする目標を掲げ、M&A(企業の合併・買収)の活用を模索していた。
〇九年三月期の業績予想を基にパナソニックと三洋の連結売上高を単純合計すると、十一兆二千二百億円に上り、電機業界首位の日立製作所(十兆九千億円)を上回る。
三洋創業者の故