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2008年11月02日(日) 00時00分

歴史歪曲、侵略美化と批判 空幕長論文で韓国・中国中国新聞

 【ソウル、北京1日共同=粟倉義勝、芹田晋一郎】韓国外交通商省は一日、報道官名で、更迭された防衛省の田母神俊雄たもがみ・としお航空幕僚長の論文は「歴史の真実をごまかすもの。こうした歴史歪曲わいきょくが繰り返されてはならない」と批判する声明を出した。ただ批判の対象を論文の内容に限定し、田母神氏の任命責任も含め日本政府への批判は避けた。

 また中国外務省の姜瑜きょう・ゆ副報道局長も同日、「自衛隊の現役の高官が公然と歴史を歪曲し、侵略を美化したことに非常に驚き、憤慨している」と批判、一方で「日本政府が表明した態度と既に取った措置は知っている」と更迭を評価する談話を発表した。

 韓国の声明は文章二つの簡潔なもので最も低いレベルの抗議表明といえ、十二月の日中韓三カ国の首脳会談開催などを模索する中で、この問題の早期収拾に応じる意向とみられる。中国も日中関係を重視、これ以上は事を荒立てないようにする思惑があるとみられる。

 日韓政府筋によると、日本政府は一日午前までに、論文は個人的見解で日本政府の立場は従来通りだとの見解を在日本韓国大使館を通じて韓国政府に伝達。外交通商省声明はその後出された。問題発覚直後の田母神氏更迭と合わせ、こうした日本側の姿勢が一定程度評価された可能性もある。

 中国の姜副局長は、歴史を正しく認識して対処することが両国関係発展のための政治基盤だとして「中日両国は関係の大局維持に、ともに努力するべきだ」と強調した。

 日本側は問題発覚直後に麻生太郎首相が不快感を示し、田母神氏の即日処分を決め、周辺国にも「個人的不祥事」と強調し外交問題化を避けた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811020046.html