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2008年11月02日(日) 00時00分

小児科認定医の常勤42% 全国の救命センター調査中国新聞

 重症患者らを二十四時間体制で受け入れる全国の救命救急センターを対象に、日本救急医学会の小児救急特別委員会(委員長・野口宏のぐち・ひろし愛知医大教授)が昨年実施した調査で、回答した百三十八施設のうち、日本小児科学会が「専門医」として認定した小児科医が常勤しているのは42%と半数以下にとどまることが分かった。

 小児科医確保の難しさなどを背景に小児診療を実施していないところも13%あり、患者の受け入れ拒否が問題になっている産科と同様、医師不足の影響もうかがわれた。

 救命救急センターは一般病院では対応が難しい重症患者の「救命のとりで」と位置付けられており、特別委は同センターの小児救急の質について「さらなる向上が必要」としている。

 調査は昨年九—十一月にかけ、全国の救命救急センター二百二施設(同八月時点)を対象に実施。回答した百三十八施設のうち、一定以上の診療能力があるとして小児科学会から認定された小児科医が常勤しているのは、五十八にとどまった。

 全体の87%が小児の救急診療を担っていたが、認定医以外も含めて常駐の小児科医が重症児に対応できるとしたのは67%。小児患者が優先的に使用できる集中治療室(ICU)があるとしたのは20%だった。

 小児の救急患者は不慮の事故による外傷、家庭内での誤嚥ごえんなどのほか、ウイルスや細菌感染によるけいれん、脳症など中枢神経系の病気が多いとされる。本人が症状を正確に伝えることが難しく、軽症に見えても容体が急変することもあり、経験豊富な認定医による診療が望ましいという。

 特別委メンバーで北九州市立八幡病院の市川光太郎いちかわ・こうたろう副院長は「多くの救命救急センターは大人への対応を中心に発展し、これまで小児の診療体制が不十分だった。子どもに精通した医師が診療しなければ特有の疾患を見逃すケースも想定され、質の充実が必要だ」と指摘している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811020049.html