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2008年11月02日(日) 08時02分

【Re:社会部】「腹を切る覚悟」で産経新聞

 事前にリスクを排除し「何もないのが当たり前」とされる警備警察の世界。政府要人の警護や在外公館の警備などはもちろんですが、とりわけ失敗が許されないのが皇室に絡む警衛です。

 警衛で功労があった警視庁の幹部は、天皇陛下から「木盃(もくはい)」と呼ばれる菊の御紋入りの賞杯をいただくことができるそうです。その分、伴う責任も半端なものではありません。過去には、天皇陛下の馬車列に爆弾が投げられた「桜田門事件」(昭和7年)や、皇太子さま(のちの昭和天皇)の車が発砲を受けた「虎ノ門事件」(大正12年)といったテロがあり、いずれも警視総監が懲戒免官、内閣が総辞職を申し出る事態にまでなりました。

 既報の通り、先月、皇居に向けて消火器が発射され、お堀に小型ドラム缶爆弾が投下される事件が起きました。巡回中のパトカーが爆発音を聞いて急行したため、容疑者を逃走前に確保でき、けが人を出すこともありませんでした。

 この事件は、民間人でも大量の爆弾を作れてしまうという現代の脅威を改めて示しました。ある警視庁幹部は細心の注意を払い、「何かあったら腹を切るくらいの覚悟」で警備に臨んでいると言います。

 責任の取り方はさておき、いつの時代でも警備担当者には変わらぬ緊張感が求められ続けています。(宝)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081102-00000071-san-soci