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2008年11月02日(日) 09時57分

活字の力 討論会で再認識中国新聞

 IT時代に活字の役割を見つめる読書フォーラム「広島発!活字の底力」が1日、広島市中区土橋町の中国新聞ホールであった。講演会とパネルディスカッションに約500人が耳を傾けた。

 来年から中国短編文学賞の選者を務める直木賞作家の重松清さんが「こんな時代だから本を読もう」のテーマで講演。「人生には正解がないからこそ、本を読んで悩もう。本には、悩み、失敗し、でも頑張り通す人たちが登場する。それを読み、自分なりの正解を求める。それが他メディアにはない活字の底力だ」などと話した。

 パネル討論のテーマは「未来の読書人を育てる」。書評家の岡崎武志さん、広島大大学院教授の山元隆春さん、ひろしま子どもの読書活動団体等ネットワーク協議会代表幹事の吉川五百枝さんがパネリストを務めた。岡崎さんは「古書をインターネットに頼らず、店を回って探し当てることですごく大事な本になる」と本の楽しみ方を提案。活字離れと指摘される状況について、山元さんは「学生は、本と親しむ入り口を探しあぐねている。数人単位で紹介し合うなど身近な取り組みが有効では」と述べた。吉川さんは「活字離れの弊害として、子どもの思考パターンの画一化がある。多様な読書環境を大人が提供しなければ」と訴えた。

【写真説明】読書フォーラムで活字の底力などをテーマに講演する重松さん(撮影・今田豊)

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200811020020.html