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2008年11月02日(日) 02時20分

<新城設楽事務所>予算使い切り常態化 返還5年で315円毎日新聞

 公金詐取事件の舞台となった愛知県新城設楽農林水産事務所が、02〜06年度に需用費予算計3億3961万円をほぼ使い切り、県に返還した不用額はわずか315円だったことが分かった。同事務所元主任の内藤三重子容疑者(60)=詐欺容疑で逮捕=は、年度末を中心に物品を架空発注して代金をプールする「預け」と呼ばれる裏金作りの手口を悪用して公金を詐取したとされ、予算の使い切り主義が事件の背景にあることが裏付けられた。

 県によると、県から同事務所へ単価3万円未満の消耗品などを買うために配分された需用費予算は、内藤容疑者が物品担当だった02年度が8286万2882円、03年度が8328万9350円。このうち使われずに返金されたのは02年度の10円だけだった。また内藤容疑者が担当を外れた04年度以降の3年間も、配分された需用費計1億7346万円のうち不用額は305円にとどまった。02〜06の各年度とも「預け」が行われていた。

 県の地方機関の予算は、前年度の実績などを基に本庁の担当部局から配分される。複数の県関係者によると、各地方機関では予算を余らせて翌年度の配分額を減らされないように、年度末に物品を大量発注して予算を使い切ることが慣行化していた。

 県によると、こうした慣行を背景に、内藤容疑者は年度末を中心に架空発注を繰り返して裏金を捻出(ねんしゅつ)。上司や同僚は納品を確認せず、不正経理を見過ごしていた。

 内藤容疑者は02〜03年度に裏金化した公金225万円を業者から返金させ、私的流用した疑いがあるほか、県設楽事務所(当時)林業振興課に所属していた02年2月ごろにも同様に140万円を私的流用した疑いが持たれている。【秋山信一】

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