記事登録
2008年11月02日(日) 06時02分

救命板で流され7時間半…京都で不明、大阪で救助スポーツ報知

 10月31日午後6時半ごろ、京都市伏見区の宇治川で、係留中の船にあった座布団状の救命板(約1メートル四方)に乗って遊んでいた伏見区の高校1年、山本侑毅君(16)が流されて行方不明になり、約7時間半後の1日午前2時ごろ、約15キロ下流の大阪府高槻市で無事保護された。目立ったけがもなかった山本君は自宅で「手がかじかみ冷たかった」などと漂流時の様子を語った。捜査関係者は「無理に泳ごうとしなかったのがよかったのでは」と話している。

 半畳ほどの大きさの板に乗り、約7時間半にわたって川を漂流した山本君。けがはなく体もほとんどぬれておらず、奇跡的な生還となった。

 京都、大阪両府警によると、山本君は31日夜、宇治川に架かる観月橋の上流約100メートル付近にあった屋形船(長さ約20メートル、幅約5メートル)で友人2人と遊んでいた。山本君が船上にあった救命板を川に浮かべて乗った際、「思ったより流れが速くて」そのまま流されたという。

 友人が午後9時ごろに110番。警察や消防が100人態勢で捜索していた。

 救命板はプラスチック製で、大きさは約1メートル四方、厚さ約20センチ。通常は「乗るものではなく、船が沈んだ時に捕まるもの」(捜査関係者)だという。

 その山本君を乗せた救命板は、宇治川が桂川と合流して淀川に注ぐ場所で1時間近く止まった後に、淀川を漂流。カーディガンにワイシャツ姿だった山本君は「上着がなく寒かった。バランスを取るため、しゃがんで救命板の端を両手でつかんでいた」と説明した。川の水が手にかかり、外気でかじかみ冷たかったという。当時の気温は12〜14度だった。

 暗くて周りが見えず、柱のようなものにぶつかったり、川の合流地点にできた渦のような場所を1時間ほど回り続けたという山本君は、「不安で仕方なかった」と振り返った。途中捜索しているパトカーを見つけ「おーい」と叫んだが、気付いてもらえなかったという。

 その後、淀川で岸から川にせり出している樹木を見つけ、夢中でしがみつき陸に上がり、近くの民家に助けを求めた。

 「水につかっていると思っていたのであきらめかけていた」と父の泰男さん(42)。山本君は「反省しています。もう船では遊びません」と神妙に話した。

 高槻署員は「天候も良く、流れが穏やかだったのが幸いしたのだろう」。別の捜査関係者も「水につかっていたら、冷たくて体力が持たなかっただろう」と話している。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081102-OHT1T00015.htm