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2008年11月01日(土) 00時00分

「山梨勝沼」 中国の個人が商標登録申請読売新聞

ワイン産地名 「輸出見越し悪質」 県、異議申し立てへ

 生産量日本一を誇るワイン産地「山梨勝沼」の名称が、中国で上海市の個人によって商標登録を申請されていることが31日、わかった。県は「勝沼ワインの輸出を見越した悪質な申請」とみており、地元の甲州市や業界団体と連携して中国商標局へ異議申し立てをする方針だ。

 中国では「九谷焼」「川崎」など、日本の地名や特産品名が現地企業などに相次いで商標登録されている。商標は日本と同様、世界160か国以上が採用する国際分類に従って商品やサービスを45種類に分け1分類ごとに登録する仕組み。「山梨勝沼」はワインなどビール以外のアルコール飲料が入る第33類に申請されている。

 県工業振興課によると、甲州市勝沼町産のワインは現在、中国に輸出されていないが、今春、有望な市場として成都市で開かれた博覧会に同町のワイナリー2社が参加したばかり。県ワイン酒造協同組合の三沢茂計理事長は「中国は数年すれば大きな市場になる。ワインの場合、ブドウの産地表記はとても重要。迷惑な話だ」と憤る。県も「断固として行動する」として、同組合などと連携し異議申し立ての準備を進める。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)北京センターによると、この商標は2006年10月の申請。申請量が多い中国では、一般的に審査に2〜3年かかる。異議申し立ては審査後、商標が公告されてから3か月以内にしかできないため、県は公告を見逃さないよう待ち構えている状態だ。

 中国の商標法は広く知られた地名の登録を認めていない。同センターによると、東京や大阪の申請は無効となったものの、今年6月現在で47都道府県中、秋田、長野、千葉など27の名称が登録・申請されている。「山梨」の申請はないが、同センターの担当者は「『山梨勝沼』は中国商標局の審査を通る可能性がある」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20081031-OYT8T00698.htm