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2008年11月01日(土) 21時19分

死刑制度の是非考える 下京、高村薫さん講演京都新聞

 裁判員制度の導入を前に、死刑制度について考える集会が1日、京都市下京区の大谷ホールで開かれた。作家の高村薫さんは講演で「感情に流されず、公正な第三者として制度の是非を考えることが大切だ」と話した。
 大学教員や宗教者たちでつくる実行委員会が主催し、約400人が参加した。
 死刑囚が登場する最新作を発表した高村さんは「人を裁くには、常識や普段の感情とは異なる非日常的な理性が求められる。被害者、加害者どちらの立場でもなく、公正な第三者であることは難しい」と話し、市民が死刑判決にかかわる可能性もある裁判員制度への不安を語った。
 宗教者としてシンポジウムに参加した浄土宗大林寺(宝塚市)の木下達雄住職は、人間が間違いを犯す不完全な存在であることを強調し、「裁判員制度は、本来的に人ができないことを押し付けている」と訴えた。
 山口県光市母子殺害事件で弁護人を務めた安田好弘弁護士は「人を殺した人間を死刑にすることは、非難したことを自ら行うという矛盾に直面する」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081101-00000046-kyt-l26