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2008年10月31日(金) 12時49分

死刑撤廃の検討勧告、国連委が日本政府に読売新聞

 【ジュネーブ=大内佐紀】国連に事務局を置く「市民的・政治的権利に関する国際規約」委員会は30日、日本政府に対し、死刑制度の撤廃を検討するよう求める勧告を出した。

 同委は同規約の批准国の人権状況を定期的に審査しており、日本が対象になるのは10年ぶり。勧告はまず、日本の死刑制度について〈1〉死刑執行が増加している〈2〉執行することを本人に告知してから執行までの時間が短すぎる〈3〉高齢者や、精神状態が正常でない死刑囚が執行対象となっている−−などと懸念を表明した。

 そのうえで、「(死刑制度存続への支持が多い)世論調査の結果とは関係なく、死刑制度の撤廃を前向きに検討し、国民にも廃止が望ましいことを知らせるべきだ」と勧告した。また、確定したすべての死刑判決を見直す制度を導入し、再審や恩赦請求があった場合は刑の執行を見合わせるよう求めた。さらに、死刑囚を独房に拘置するのは例外扱いにするべきだとした。

 ◆勧告に拘束力なし、日本側「国内問題」◆

 今回の勧告に国際法上の拘束力はない。森法相は31日の閣議後記者会見で「その趣旨を尊重しつつ、適切に対応したい」と述べたが、勧告を受けて死刑制度の見直しに動く可能性はないとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000024-yom-soci